夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「初めまして、マリアと言います。昨日は助けてくれて、ありがとう・・・ございます」
「ワンワン」
「この子はコロです」

南方先生と咲ちゃんがマリアちゃんの診察をしにきてくれた時、マリアちゃんは二人にちゃんとお礼を言って頭を下げる。
私が教えた通りちゃんと敬語と言うか丁寧語になっていて、南方先生と咲ちゃんの好感度は確実に上がっただろう。

タメ語のお礼よか絶対にこっちの方がいい。

「いえいえ、医者として当然のことをしただけですよ。私は南方仁と言います」
「私は橘咲です。元気になられてよかったですね?」
「はい」
「二人とも、マリアちゃんはしばらく我が家に居候することになったんだ」

案の定二人の受けは良かったらしく好感度抜群で、共に笑顔になりマリアちゃんが元気になったことを喜んでくれる。
私は更に親睦を深めるため、次なる話題に移った。
マリアちゃんにはきっと多くの人との交流が必要だと思ったから。

「そうなんですか?それなら私と咲さんはお隣なので、これからよろしくお願いします」
「私の方こそよろしくお願いします」
「マリアちゃんは日本語が上手ですね」
「だって私アメリカにすんでたけれど、日本人だから」

挨拶も終わり咲ちゃんの何気ない問いに、マリアちゃんはさらりと答え咲ちゃんを驚かす。

明らかに異人の外見なのに、日本人だったことがそんなに衝撃だったのか?
でも西郷さんだって金髪なのに、日本人。
なのに不思議と疑われたことはないらしい。

「マリアちゃんは白龍の神子とその八葉の娘なんだって」
「うん。お兄ちゃんが言っていた」

二人には隠す必要もないと思い混乱をなくすためにも暴露すると、マリアちゃんも特に隠す必要もないのか頷き話す。

マリアちゃんのお兄さんか。
帯刀さんの言う通り、彼が鍵になってるんだね。
格好良く言えば、天使か悪魔かってとこだろう。

「それではマリアさんは、異なる世界から来た人なのですね?」
「らしいよ。でもお父さんがこっちの人だから、こっちの人ってことにもなるんだよね?こっちだと、約七百年ぐらいだけれど」
「なっ七百年?」

ようやく咲ちゃんが納得行った答えが出てきて一件落着だったのに、私の余計な一言なせいで南方先生にまでも混乱を招いてしまった。
軽い感じで七百年と言ったけれど、よく考えて見ればそれはすごいこと。

「時空を越えての運命の出逢い・・・遙かなる時空の中で・・・か」

ふっとそう思うと自然とタイトルが口にしていて、あまりにもそれはしっくりしている。
私と帯刀さんもそんなステキな出逢いがあったからこそ結ばれた。

「時空を越えての運命の出逢いと言われると、なんだか素敵ですね。そう言うのって憧れてしまいます」

私の呟きが聞こえたらしく咲ちゃんは我に戻りそう言って、すっかり恋する乙女の顔になり南方先生をチラっと見ている。
女性なら誰でも憧れるフレーズかもしれない。

雪ちゃんには急がせたら駄目だと言われたているけれど、咲ちゃん・アーネストお見合い大作戦を早々に決行した方がいいのよね?
だってやっぱり二人には、幸せになって欲しいもん。




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