夢幻なる絆
□9.白龍の神子の娘
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「凪、怖い夢でも見た?」
「え、見てないけれど、どうして?」
「だって悲鳴に似た声がいっぱい聞こえてきたから」
「・・・・・・」
「・・・ぷっ」
マリアちゃんとの朝食中私を心配してかの素朴な問い掛けに、最所はなんのことか分からず首を傾げたけれど真相が分かった途端赤面化する。
ひょっとして、聞こえた?
私の声って、そんなにでかい?
それなのに隣の帯刀さんは、他人事かのように笑いを漏らす。
半分の原因は帯刀さんなのに、本当にひどい人だ。
「風邪?」
「違う。心配してありがとう。でも私は元気だからね?」
まさか本当のことなど言えるはずなく、それだけ言って作り笑いをして見せた。
いくらフィアンセがいるって言っても、そういう話は早すぎると思う。
実際何も恥ずかしがらずに聞いて来るんだから、意味を知らない何よりの証拠。
いずれにしてもこれからは声を押さえなければ・・・。
でもどうやって?
「マリアくん、私達は夫婦の遊びをしてたんだよ。妻はそれが大好きで、あれは喜びの悲鳴なんだよ」
「た帯刀さん!!」
なのに帯刀さんはわざと事実を話して、余計なことも言う始末。
事実だけれど、そんなこと口に出して欲しくない。
どうせ私はエロくて変態ですよ。
「ふ〜ん、分かった。帯刀は夫婦の遊びが好き?」
「ああ、大好きだよ。男はみんなそうだと思うけれど」
「そうか。なら祟も好きなんだ」
「多分ね」
絶対に何か勘違いしてるだろうマリアちゃんの受け答えに、確信犯でさらなる誤解を楽しそうに植え付ける帯刀さんが悪魔に見える。
訂正しにくい内容なだけに私はただ、マリアちゃんが相手に言わないことを祈ることしができなかった。
後でそれは夫婦限定と言うことにして、口止めした方がいいのかな?
「夕凪どうしたの?」
「今朝も美味しそうだな。いただきます」
「いただきます」
私にまで毒牙に捕まりそうになったけれど、スルーし何事もなかったかのように朝食を食べる。
するとマリアちゃんも、ちゃんと言って一緒に食べ始めた。
今朝の朝食は、焼鮭定食。
梅さんの味付け焼たまごは特に美味しくて、大好きなんだよね。
「夕凪、生野菜を最初に食べなさい。はい、口を大きく開けて」
「・・・はい」
いつもなら最後の生野菜なのに今朝はどう言う訳か最後になってしまい、少し恥ずかしく思いなからも言われた通り口を大きく開け食べさせてもらう。
以前よりも大分食べられるようになった生野菜。
でもまだ嫌いであることは変わりない。
「これでいいですか?」
「はい、今朝もよく食べられました」
と確認すれば、帯刀さんはニッコリと笑い頭をなぜてくれる。
子供扱いされてもなぜか嬉しい私も、つられて笑顔になった。
今さっきはあんなに興味を示していたマリアちゃんはこれには興味ないらしくその間も黙々と朝食を食べていたもんだから、すっかりいることを忘れていて二人の世界をしばらく浸っていたのは言うまでもないだろう。