夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「夕凪、浮かない顔だけどどうしたの?」
「実はマリアちゃんのフィアンセが瞬の弟祟くんらしいんですが、その祟くんとマリアちゃんのお兄さんが私に会いたいと言ってる見たいです」

マリアちゃんの言葉の意味を考えながら広間に戻ると帯刀さんに速攻気づかれたから、私は簡潔に予想を含めた出来事を話し帯刀さんの隣に座る。
私一人では何も解決しないけれど、帯刀さんに相談すれば大体は解決するからね。

「それは、妙な話だね。二人は夕凪の知り合いではないのでしょ?」
「はい。知りません」
「どうやらマリアくんのことについて、もっと詳しく調べた方がいいらしいね。マリアくんの兄上、そして熊野が気になる」
「ですね。私ももう少しマリアちゃんに話を聞いて見ます」

何もしないで結果だけを待つなんてことをしたくなくって、私にも出来そうなことを言ってみる。

マリアちゃんは素直だから、うまく聞けば答えてくれるはず。
少しだけ私も熊野に行きたいなんて言いたかったけれど、さすがにそれは自分を知らな過ぎで怒られるのは目に見えている。
極秘調査の聴き込みなんて、私には到底無理なこと。
その道のプロに頼むのが一番いい。
でも熊野には旅行で、いつか行って見たいな。

「あまり深入りしたら駄目だよ。もしも夕凪に何かあったら私はどうしたらいい?」
「深入りは絶対しませんから大丈夫です」

私がこれからやろうとしているのはそんなに危ないことなのか、珍しく真面目に心配されてしまいそんな約束をさせられてしまう。
どうやらもっと緊張感を持った方がいいらしい。
私ってあんまり人を見る目がないから、ここは帯刀さんの助言通りにしておこう。

「素直な妻は好きだよ。ご褒美に食べさせてあげるから、口を大きく開けなさい」

となんのご褒美なのかよく分からないものの、言われるままに私は口を大きく開ける。
すると口の中に一口大の羊羮が飛び込んで来てよく噛めば、そんなに甘くないなんて言うか上品な味が広がっていく。

これだったら帯刀さんも無理しないで食べられるよね?

「美味しいです。帯刀さんにも食べさせてあげますね」
「そう?なら口移しで食べさせて」
「な何言ってんですか?そそんなの出来ませんよ」

果たして本気なのか構われているだけなのか分からないお願いに、私の顔は一瞬で真っ赤に染まり声が裏返り咳き込む。
いくらなんでもそれは恥ずかしい。

「駄目。拒否は認めない」
「帯刀さんの悪魔!!」

例のごとく私には拒否権はなく、しかも不条理でしかないことを言い出し強制してくる。
私にはそれを回避することも出来ないと思いつつ、無駄でも一応半泣きで拒否。
本当にこう言う時の帯刀さんは、大魔王の鬼だ。

「夕凪は私にお仕置きされたいんだね」
「されたくないです」
「だったら大人しくやりなさい。ここは私と夕凪しかいないんだよ」
「・・・・」

この瞬間帯刀さんに軍配が上がってしまい、私は羊羮を口に加え帯刀さんの口へと移す。

でもそれは滅茶苦茶恥ずかしいだけで、けして嫌だと言うわけではない。
まぁ帯刀さんが言う通り、誰もいないからいいか・・・。

しかし襖がいきなり開き、コロを抱き抱えたマリアちゃんが現れる。

すみません。
教育上よくないシーンです。




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