夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「白龍にもっとも愛された神子の娘ね・・・。やっぱり私が言った通り厄介事でしょ?」
「まぁそれはそうですけれど・・・」

少女のことをすべて話終わると帯刀さんは確信し再び力強くそう言い切り、今度は反論しようがなくなった私は渋々認め口を尖らせる。

はい。
私は厄介事を持ってきてしかも、巻き込まれる覚悟をしてます。
でも悪いとは、思っていません。

「その顔は完全に首を突っ込む気でいるね」
「はい」
「はいじゃない。どうして夕凪は私のことだけ考えて、大人しく妻をしていられないの?」

私の考えなど軽く見破られるけれど当然とばかりに頷く私に、頭をこつかれ深いため息と愚痴をここぞとばかり溢される。
しかしそれは誤解も良いところだ。
確かに妻らしいことはあまり出来てないけれど。

「私ちゃんと帯刀さんのことを第一に考えてますよ。私と帯刀さんが幸せに過ごせる未来を、私なりに考えて探しているんです」
「そう?私には好奇心の方が強いと思うけど」
「そそんなことはないですよ」

多少なりとも持っている心の奥底の本心を見透かされてしまい、強くは言い返せずしかも声が裏返ってしまい誤解は誤解を生ませてしまう。

どうして
好奇心は少なからずあるけれど、そんなに強くはない。
って否定できないんだろう?
実は帯刀さんの言う通り好奇心の方が強いとか?

「・・・まったく。好奇心旺盛で飛び回るのもいいけれど、もし危ないと思ったら私を頼るんだよ。その時は私も一緒に行くから」
「え、それでいいんですか?」
「いいよ。私もこの幸せを永遠のものにしたいからね」

結局帯刀さんは優しくなってそう言うことに話は無事にまとまり、私を強く抱きしめ深い口づけをくれる。

甘やかすだけ甘やかす。
さっきチナミちゃんに言っていた言葉を思いだす。
私今帯刀さんに甘やかされてるんだ。


「ワンワン」
『え?』

そんな絶賛夫婦の時間を満喫してこれから一気に深くなっていこうとしている中、渡り廊下から子犬の足音と鳴き声が聞こえたと思えば私の部屋の前で足音は止めた。
明らかに私を呼んでいる。

少女の身になにかあったんだろうか?
だとしたら急いで様子を・・・その割りには子犬の鳴き声は嬉しそう。
ひょっとしたら、良い知らせかも知れない。

「随分礼儀知らずの犬だね?でもまぁこの続きは夜にするとしよう」
「なら少女の元に行ってきますね。それからステーキを焼くので、そしたら夕食にしましょう?」

子犬に多少機嫌が悪くなる帯刀さんだったけれど相手が相手なだけにそれだけですみ、私は私で帯刀さんの言葉には触れずそう言って立ち上がる。
まともに答えるのはいくらこう言う時でも、恥ずかしい物は恥ずかしい。

でもまぁ私もすでにそのつもりでいる。
この続きは夜・・・にね。

今は少女が先決で、そろそろ夕食の刻限。
下ごしらえはもう終わっているから、後は慎重に焼くだけ。
ウエル‐ダンとレアなら、どっちの方が簡単だろうか?

「だったら私も行くよ。白龍にもっとも愛された神子の娘が、どんな少女なのか気になるからね」
「そうですか?少女は異人のような外見でで、とっても可愛い子ですよ。私の妹にしたいほどです」

すると帯刀さんは珍しく少女に興味を示すから、私は少女のことを簡単に教えて一緒に行くことにした。

そう言えば忘れていたけれど帯刀さんって、若い美人の女性に目がないんじゃ・・・?




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