夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「おい、小松。こいつは異人じゃないか?」
「だから何よ。可愛い少女じゃない?・・・あ、そう言えばチナミちゃんは異人と言うだけで武器を振り回す、野蛮で最低な野猿の大将だったね」
「や野蛮で最低なの野猿の大将だと?貴様オレに喧嘩売ってるのか?」
「・・・凪様・・・」

少女を見た瞬間チナミちゃんの顔は険しくなり怒った口調で私にくだらないことを問いだし、私は私でチナミちゃんと言う人間を思い出し酷いことを言って逆なでする。
顔を真っ赤に染めたチナミちゃんが勢いよく噛みついてきて、応急処置を終えた咲ちゃんに泣かれる始末。

「別に・・・。ただそれで差別するなんて、人間性疑いたくなると思っただけだから」
「十分喧嘩を売ってるだろう?・・・でもまぁいくら異人でも年若いおなごであることは変わりないか。・・・今日だけは特別だからな」
「うん。年下の女の子には優しくしてこそ日本男児だよ」

少女は意外にもチナミちゃん好みだったのだろうか、渋々ではあったけれど勝手に納得して自ら少女を背負ってくれる。
恥ずかしいそうに最後の台詞を言う辺りいかにもツンデレなチナミちゃんらしかったかれど、突っ込むと可愛そうなので私はにこり笑いそれだけ言って私は子犬を抱く。
この子犬はきっと少女のだろうから、ちゃんと連れて行ってあげないとね。
それに子犬も足を軽く怪我している。

−凪、その人の子は、白龍の神子の娘だ。
−ふむ。やはりそうなのだな。
「え、じゃぁこの子はゆきの娘ってこと?まさか未来か・・・相手は一体誰?」
−落ち着け。そうではない。今から七百年ぐらい前の白龍の神子のだ。

チナミちゃんがいるってこともあり驚くべき事実をアオちゃんから教えられても、私は悟られないように小声で驚き問いその答えを聞き考え悩む。

七百年前の白龍の神子の娘?
だとすればちょうど源平合戦の辺りになるかな?
源平合戦の時の白龍の神子・・・?
そう言えば雪ちゃんに遙かシリーズについて教えてもらったことがあった。
源平合戦を舞台にした遙か3はシリーズで、もっとも人気が高い物だって言っていたけぇ?
だとしたらその遙か3の主人公の娘ってこと?

・・・なんでそんな子がここにいるの?

−それは我らにも分からん。ただこの娘はひょっとしたら・・・?
−アオも感じるのだな。私も感じるぞ。この娘は本来白龍の神子になるべき存在・・・だが白龍は自分の意志でそれを回避して今の神子を選んだ。
「なんで・・・?」
−おそらくだが危険な目にあって欲しくなかったのだろう?白龍がもっとも愛した神子の娘だからな。
「・・・・・」

ゆきのこれからの行く末を知っている私には、クロちゃんの答えが痛いほどよく分かり口黙る。
初めてゆきが可愛そうだと思えてしまった。

今思えばゆきは本当に、白龍から愛されているのだろうか?
あまりにも粗末に扱われているような気がする。
まさかそれはこんな裏事情があるなんて思いもよらな・・・これはきっとオリジナル設定なんだと思う。
じゃないとあまりにもゆきが哀れな子で可哀想しか言えないよ。
祟くんが生き残れる未来の道も分かったんだし、少しぐらいはゆきに協力した方が良いのかな?
それとこの真実は、ゆきに可愛そうだから伏せておこう

−凪はやはり心優しいな。
−我らも白龍の神子には黙っておくことにしよう。
「うん、そうしてあげてね」
「小松?さっきから一体何をぶつくさ言っている?」
「え、そんなの秘密だよ」

クロちゃんとアオちゃんにも思いは伝わってこれにて一件落着と思いきや、チナミちゃんに白い目で見られるだがチナミちゃんだから笑って誤魔化すのだった。




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