夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「咲ちゃん、このみたらし団子美味しいね」
「そうですね。なんか楽しいです」

夕食の買い物が大体終わり匂いにつられて買ったみたらし団子を食べながら、ニコニコ笑顔で町中を歩く私と咲ちゃん。
咲ちゃんも甘い物が大好きなようで、女性トークも大いに花が咲く。
やっぱりこう言うのは楽しくてテーションマックスになり、声のトーンがどんどん多くなって他人からしたらはた迷惑かも知れない。

「そう言えば、咲ちゃんは南方先生と一緒に安道那津を献上するの?」
「はい、そのつもりです」
「だったら何かお祝いに贈り物しなくちゃね。行こう咲ちゃん」
「え、凪様?」

そんでもってテーションがおかしい私の暴走は止まらず、いつもと変わらない反応をする咲ちゃんの手を握りさっき見かけた小物屋に走り出す。
いつも一生懸命頑張っている咲ちゃんに、何かプレゼントしたいと突然思いついた。

咲ちゃんに似合うかんざしがいいかな?
私とお揃いって言うのは、さすがに迷惑?

・・・が。

突然不気味でイヤな怨霊の気配を感じ私は足を止めると、いきなりには止まれなかった咲ちゃんのタックルみたいなのが入りそのまま転ける。
自業自得だった。

「凪様、すみません。どうしたのですか?」
「私の方こそさっきからいきなり三昧でごめん。怨霊が来るかも知れないから、私の傍からはならないで」
「怨霊?凪様だけで大丈夫なのですか?」
「四神がいるから大丈夫だよ。まずは路地裏で四神を召喚する」

体制を整え落ち着きを取り戻した私は戸惑いを見せている咲ちゃんに状況を伝え、今度は人気の少ない路地裏に急ぐ。

一般人で何も力のない咲ちゃんを護れるのは私だけ。
・・・私にもあまり力はないけれど、それでも私は四神の神子なんだからきっとなんとかなる。
こう言う時こそ前向きに考えないと、恐怖に負けてしまう。

「シャァ〜!!」
「邪魔っツ」

バッシ


四神を召喚する前に怨霊が襲いかかってくるけれど、私の放った拳がもろに決まり怨霊は吹っ飛び消滅。
意外にあっさり倒すことが出来ていつもなら調子に乗る私でも、今はさすがに状況はが状況だったので足を止めず路地裏へ。
でもこれでいくらかは足手まといにならないことを証明されたから、これからは最低限時分の身は自分で護れそう。
もう足手まといになることはない。




「それじゃぁ、よろしくお願いね」
−任せておけ。
−クロ、アオ。二人を無事に家まで送り届けるのですよ。
−分かってる
−心配は無用だ

無事召喚した四神達に厄介事をすべて任せると四人は快く引き受けてくれ、二手に分かれ早速行動開始。
私と咲ちゃんは言うまでもなく、まっすぐ家に帰ることになった。
まぁ私はともかく朔ちゃんはもうそんな気分じゃないだろう。

「咲ちゃん、大丈夫?」
「はい、凪様が一緒なので大丈夫です」

こんなこと初めてあって不安がっていると思い明るく咲ちゃんに声を掛けてみれば、多少怖がってた物の思ったほどではなくしかも嬉しいことも言ってくれる。
ひょっとしてそれは強がりでわざと言ってくれたことかも知れないけれど、それでも逆に私の方がが勇気づけられてしまった。




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