夢幻なる絆

□9.白龍の神子の娘
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「四神の神子・・・。それが凪様の使命なのですね?」
「使命というか私は力が欲しかっただけで、でもそしたらこの世界はもうすぐ・・・」
「大丈夫だって世界の危機はお嬢と俺ら八葉でなんとかするからよ。なぁ南方先生?」
「え、まぁ・・・」

安道那津を食べ終えてから龍馬と南方先生の力を借りて事情を話すと、咲ちゃんは戸惑いながらもそれなりに理解をしてくれる。
最後の最後で言葉を詰まらせ口ごもったけれど、頼もしい龍馬は胸を張り堂々とそう言いきり南方先生にふった。
南方先生は苦笑してるだけで、何も言わなかったけれど・・・
それが普通の反応だ。

「分かりました。私は三人の言葉を信じます。凪様、話してくれてありがとうございます」
「私もありがとう。咲ちゃんとは迷惑かも知れないけれど、この先ずっーと仲の良い友達でいたいからね」
「凪様・・・。そんなことありません。私の方こそこれからもよろしくお願いします」

ちょっと照れつつ図々しい本音を咲ちゃんに言ってみると、思いの他喜ばれそう言われ涙ぐむ。
これで私達は、親友になれたのだろうか?

それにしても親友か。
龍馬と私はすでに親友だけれど、同性の親友はまた違う。
同性だから言える悩みを打ち明けられる。
そう考えると咲ちゃんが親友になってくれて良かったよ。

「だったら早速買い物に行こうよ。私この辺よく知らないから、いろいろ教えて欲しいんだ」
「はい。私が知っていることならなんでも」
「なら俺が護衛役でついてってやるよ。この辺は物騒だから女二人だけって言うのは危ない」
「平気だよ。私には四神がいるから、いざとなった時出てきてもらうから」

女同士でショッピングを楽しみたいのもあって龍馬のありがたい申し出を断り、巾着袋にしまってある四神の札を取りだし安心させる。
今江戸がどんな状況に置かれているのか、ちゃんと分かっているつもりだ。
だからいさとなったら四神に護ってもらう。

「確かに四神がいるなら、俺が護衛するより安心だな」
「ですね。私達は行きましょう?」
「ああ、じゃな」

四神のことを信用している龍馬達はすっかり安心しきって、そう言いながら席を立ち部屋から去って行く。
神様である四神だから、当然と言えば当然か。

「それでは私達も。凪様はどのようなとこに行きたいのですか?」
「夕食の買い物をしたいから市場。今夜はステーキにするんだ。分厚い牛肉を焼いて、味付けは塩と胡椒でするの」

行きたい場所を問われてそう答え、今日の献立を咲ちゃんにも分かるように説明する。
以前帯刀さんに頼まれまだ作ったことがなかったステーキ。
焼き加減だけ気を付ければなんとか出来ることだと分かって、あっちの世界でなんども練習を重ねてどうにか様になった。

「それは未来の料理なのでしょうか?」
「未来と言うか、西洋料理だよ」
「南方先生も知っていますか?」
「もちろん」
「だったら今度私に教えて下さい」
「え、私が咲ちゃんに料理を教える・・・?」

思ってもないありない展開に情況を理解できず、耳を疑い咲ちゃんをまじまじ見つめてしまった。
復唱しても分からない。
なんかとんでもない展開になってる?

「ご迷惑でしょうか?」
「違う。私が咲ちゃんに料理を教えるなんて、ありえないことだからびっくりしただけ。私でよければ、喜んで教えるよ」

そんな私のおかしな反応に誤解をしてしまい悲しそうな笑みをされてしまい、私は我に戻り誤解を説き咲ちゃんの両手を握り快く引き受ける。

「ありがとうございます。私は南方先生のため、未来の料理を作りたいんです」
「そうか。なら私には今の料理を教えてね」

やっぱりすべては南方先生のためで、切ない恋心だとは思いながらも話を合わせた。




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