夢幻なる絆
□8.闘いの仕方
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「小松婦人、どうしたのですか?」
「あ、アーネスト。私に何か出来るかなって考えているんだけれど・・・」
「でしたら私と食料の調達に行きませんか?」
「え?」
さっきはあんなに非協力的だったアーネストの口から思いがけないナイスな提案をされ、
びっくりした私は口を大きく開けアーネストの顔を覗き込む。
冗談で言っている感じではないけれど、ポーカーフェースがうまいアーネストだから分からない。
もし本当にそうだったら、一体どんな心境の変化があったんだろう?
「私も皆さんの役に立ちたいと思いまして。小松婦人とDr.南方の言葉で目が覚めました」
「本当に?冗談じゃないよね?」
「本当です。私を信じて下さい小松婦人」
「・・・分かった。その言葉信じるよ」
疑っている私にアーネストは揺るぎない眼差しで私を見つめたまま力強い言葉に、単純な私は疑うのを辞めそれが本心から言っていることだって確信する。
アーネストは根がいい奴だと十分知っているし、その言葉を信じて見たいと思った。
「ありがとうございます。それでは参りましょう?」
「うん、そうだね。そう言えば私も、お腹が空いたな」
グッ−
言っているそばからグッドタイミングとばかりにお腹の虫が大きくなり、アーネストは一瞬キョトンとしたと思えばクスクスと笑う。
こう言うことはいつものこととは言え、やっぱり恥ずかしくて小さくなる私。
でも本当にお腹が空いていて言葉にしたら、ますますお腹が空いて元気がなくなりそう。
「小松婦人、これをあげましょう」
「え、うわぁ〜チョコレートだ。ありがとう」
「どういしまして。そんなに喜んでもらえると、私まで嬉しくなります」
そんな私にアーネストはポケットの中から何か包みを取り出し私にくれ、包みを開けると中からはチョコレートが出てくる。
幕末ではあまり見かけないもので嬉し過ぎて子供のようにはしゃいでると、いつもならこう言う時は馬鹿にするアーネストなのに今はなぜか喜んで微笑み私を見つめていた。
そんなアーネストを見ていると思わずドキッとしてしまい、私は慌てて視線を反らし頬を叩き渇を入れる。
今の眼差しは一体何?
「・・・あれ、あそこから人が沢山来るけれど、・・・まさかゆき達?」
「え、・・・本当ですね。どうしてゆき達までがここに?」
気を取り直し食材捜しを始めようとしようと思いきや、遠くの方からこちらに向かってくる一行を見つける。
眼鏡を掛けていてもあまり良くない私には顔の判別までは出来ないけれど管で思いつく名を言えば、アーネストも私が見る方向を見て判別できたのかそう言って不思議がり首を傾げた。
そう言えばアーネストはゆき達もここに来ることは知らない。
「多分私達と一緒で、高杉を止めに来たんだよ。ほらゆき達は四神の札を集めているから」
「そうでしたね。では見つからないようにシロとシュウも連れ逃げます・・・それとも札に戻しますか?」
「あ、そうだね。会うのは危険だから、札に・・・あ駄目だ。ここでそんなことしたら、みんなに怪しまれる」
−凪、心配するでない。我らは気を完全に消せるから、なんとかやり過ごしてみせる。
−ええ、だから安心して下さい。ですがクロはまだ不安なので、札になることをお勧めします。
−そうだなそうしよう。凪の懐に私はいる。
私とアーネストの会話を聞いていたらしくシロちゃん達はそう言い、クロちゃんだけが札に戻り私の懐に入っていった。