夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「宮河先生、今から私と一緒に来て下さい」
「奥方様、どうしたのですか?南方先生と一緒だってのでは?」
「南方先生が宮河先生の助けを求めてるんです。この戦で重傷者が続出しそうで、人手が足りないんだと思います」
「そう言うことですね。分かりました。でしたら数人の藩士も連れて行きましょう」

藩士達の待機場所に戻り一目散に宮河先生の元へ行き軽く事情説明すれば、すぐに納得してくれそうも言ってくれた。
宮河先生はとっても優しくて物知りな藩医頭で、年下の南方先生を尊敬している。

だけど宮河先生はこの時代の人だから、何も話さずについて来てもらうのは危険?
私と南方先生は国際交流が当たり前で平和な世の中に産まれたからで、普通は・・・そう言えばチナミちゃんは異人を目の敵にしてたよね?
高杉だってそうだからこんなことになっている・・・。

アーネストの言葉を含め今までのことがだんだんと不安に変わり、宮河先生なら分かってくれるとは思いつつ最悪自体にならないようすべてを話すことにした。
怖いけれど、しょうがない。

「でもこれは私と南方先生の独断でやることで、負傷者の中には異人も沢山いるかと思います。・・・それでもいいですか?」
「もちろんです。私は医師ですから、患者が誰であろうと関係ありませんよ。それにもしここに御家老がいたら、奥方様達と同じことをしていたと思います。ですから奥方様の判断は少しも間違っていません」
「宮河先生・・・」

不安を積もらせながらも恐る恐る真相を話すと、宮河先生はニコッと笑いそう言ってくれながら私の頭を優しくなぜる。
しかも嬉しくて自信が持てるようなことも言ってくれて、不安が元気に変わり私も自然と笑みが零れた。

やっぱり余計な不安だった見たいね。
薩摩藩の人達は、みんな良い人ばかりだ。

−よかったな。凪。
−うん。

「それでは藩士を集めて早く行きましょう。きっと南方先生は我々を待ってるでしょうから」
「はい、そうですね」



「南方先生、宮河先生達を連れて・・・うわぁ〜、随分集まりましたね」
「南方先生、我々は何から始めればよろしいでしょうか?」

南方先生の元へ戻ると予想以上の負傷者達が集まっていて、まるで即席で出来た青空病院になっていた。
だから南方先生はてんてこ舞いで、シロちゃんとシュウちゃんも頑張って手伝い中。

「あ、凪さん、ありがとうございます。宮河先生、早速で悪いのですが、腕に赤い紐を付けた人の治療をその他の人達は緑の紐の治療をお願いします」
『はい』
 
私達を気づいた南方先生は治療をしながらテキパキと指示すれば、宮河先生達はすぐに指示通り負傷者の治療開始。
負傷者の度合いによって色分けしたのは、スムーズにするためなんだろう。
その光景がますます病院らしくて私も何か手伝おうと思って自分にも出来そうなことを探してみる物の、どれもこれも繊細で難しそうな作業で下手に手伝ったらおおごとになるのは目に見えていた。
でもだからと言って何もしないでボーとしているのは申し訳ないので、今度は頭で何かないかと懸命に考える。



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