夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「それで俺達はどうやったら、元の世界へと戻れるんだ?」
「凪が強く願えば、戻れるはずだ」
「それで良いの?南方先生、ゆき達と話し合ってから、元の世界に戻ってもいいですか?」
「もちろんです。元々そう言うつもりでしたから、その辺は凪さんに任せます」

帰る方法は分かっても私にはやることがあったため一番心配だった南方先生に確認を取れば、思ったより明るい南方先生はイヤな顔をなどせずこれからを私に託してくれる。
そう言えば南方先生はここに来てから悩みがあるような凹んだ顔など一切せず、しかも以前よりもずっと頼りがいのある顔つきになっているような。
ここに来て何かが吹っ切れた?

「夕凪、南方先生は私の変わりに天の白虎になってくれることを決意してくれたんだよ」
「え、本当ですか?」
「はい。以前凪さんに教えてもらった通り、皆さんのバックアップをしていきたいと思います。少しでも皆さんの役に立ちたいんです」

迷いなく南方先生は、決意を言ってくれ微笑んだ。
南方先生のことだからきっと沢山迷ってようやく辿り着いた答えであり、優しいから私のために決心してくれたのかも知れない。
帯刀さんを神子に取られないように・・・。

「南方先生、謙遜しなくてもいいんだぜ?前にも言ったが、先生がいれば何も恐れることはない百人引きだ」
「そうですよ、Dr.南方。ですからもっと自信を持って下さい」
「龍馬さん、アーネストさん。ありがとうございます」

龍馬とアーネストはそう暖かい言葉を励まし、南方先生は恥ずかしそうにも喜んだ。
これで少しでも自信を持ってくれればいいけれど、本当に南方先生は実力のある人だからそんな謙遜しなくても良いと思う。
帯刀さんだってそう思っている。

まぁそこが南方先生の良い所でもあるんだけれどね?
八葉の中では一番の年上だと思うから、頼れる存在になっていくはず。
これで八葉は全員揃ってゆきの力になるだろうから、私と帯刀さんは表向きは無関係。
もちろん出来る限り協力はするつもりだけれど、深くは関わらないで単独行動をする。

ガタガタ

「え、地震?」
「夕凪、危ない」

いきなり激しく建物が揺れ私はバランスを崩すけれど、帯刀さんが私をとっさに受け止めてくれる。
みんなも突然のことにも関わらず、とっさに何かにしがみ付いたのか大事には至らなかった。

・・・地震?

「・・・これは・・・?」
「おい四凶の札は三枚とも無事なのか?」
「え、あ四凶の札なら・・・あれ?」

揺れが収まったと同時にシロちゃん達の様子は真剣その物に変わりアオちゃんの問いに、四凶の札を持っている龍馬は訳も分からないまま四凶の札をポケットから出そうとするが段々顔が青ざめていく。
そんな不思議な行動に私の頭に大量のクエッションマークが浮かぶが、あらゆるポケットを探し始めるけれど四凶の札はなぜか出てこない龍馬に不安が過ぎる。
でもそれは私なら十分ありえる話だけれど、龍馬に限ってはそんなことあるはずは・・・。

「・・・ない?」
「龍馬さん?」
「坂本龍馬、まさか?」
「四凶の札がどこにもない」
『・・・アホか!!』


ドガ ゲッシ バシ ドシ


私以外の誰もが同じ不安が過ぎりそれは予感的中してしまい龍馬の悲しい告白に、四神達の怒り声は綺麗にけたたましくハモり一斉にどつかれ気絶する。
一見コントに見えるシーンだったが、笑える状況ではなかった。



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