夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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砂漠は思った以上に歩きにくて、私一人だけさっきから転けまくりで迷惑をかけている。

ドゲッ


何回目かの、ど派手な転け。

「夕凪、もう諦めなさい。みんなの足手まといだよ」

もはや私のことなど一切心配せず、呆れそうきつい言葉をはっきり言われる。
これにはさすがにもう意地を張れなくなり、潔く帯刀さんの言葉に従うしかなかった。
自分でも今の私は足手まといでしかないと思う。
砂漠を歩くなんて私には無理だった。

「やれやれ、小松さんは相変わらず婦人には甘いですね。たまには獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすのいいかとも思いますが」
「アーネストさん、難しい言葉を知ってますね?」
「通訳士として当然です」
「サトウくん、それは意味が違うよ。夕凪は私の愛しい大切な妻であったて私の子供ではない。夫が妻に優しくするのは当然だと思うけどね?それとも英国は違うの?」
「いえいえ、我々の祖国ではレディファースト。女性を大切にするのは当然ですが、小松さんは甘やかせすぎです」

外見では髄分穏やかな会話に聞こえても、内容にトゲがありまくりで怖すぎます。
アーネストの言葉は一理も二里もあるけれど、ここは帯刀さんの言う通りにしとこう。
そうしないと後が大変だ。

「・・・ほら乗りなさい」
「すみません。ならお言葉に甘えて」

アーネストの言葉をスルーしたまま帯刀さんは私に背を向けしゃがみそう言うから、私は恥ずかしく思いながらも素直に負ぶって貰う。
帯刀さんの大きくて温かい背中は、気持ちの良い場所だった。










「夕凪、おきなさい。到着したよ」
「えあ、はい!」

帯刀さんの声で私は目が覚める。
目を擦りながら帯刀さんから降り前を見ると、見覚えがあるやたらでかい屋敷が建っていた。
なぜこんな所にいるのか分からない。
どうやら心地のよい帯刀さんの温もりを感じたまま、寝不足だった私は状況を理解しながらも寝ていたらしい。

「凪、お前こう言う時に普通寝るか?しかも凄い幸せそうな寝顔で緊張感無さすぎじゃないか?」
「そうですね。いくら小松さんが助けてくれるからと思って、安心しきっているのもどうかと思いますよ」
「返す言葉もございません」

龍馬の厳しい指摘とアーネストからももっともな言葉に、言い逃れができなくなり帯刀さんの後ろに隠れた。
重荷になるのが嫌だから四神の神子になったのに、これでは何も変わらない。

私は力を手に入れても、重荷なんだろうか?

「夕凪、気にしなくてもいい。それだけ私に心を許してくれている何よりの証拠なのだから、私にしてみれば嬉しいことだよ」
「帯刀さん・・・」
「夕凪は今の夕凪のままでいなさい」


「おい、馬鹿夫婦。今はそれどころじゃないだろう?」

反省してる私に帯刀さんは優しい言葉をかけてくれ二人だけの世界になる寸前、うんざりとばかりの龍馬に無理矢理現実世界へと連れ戻されてしまう。
我に返り反射的見渡せば、苦笑する南方先生と呆れきったアーネストの視線も痛い。

「そう?だったら早く用事を済ませて戻ろうか?夕凪、念のため四神を出しときなさい」
「はい。じゃぁ、みんな悪いけどお願い」

私とは違い自分のペースで言葉を返し私に指示をするから、私は言われた通り四神の札をポケットから出し空へとなげる。
すると四神の札は可愛い姿へと実体化して、私達はそのまま屋敷の庭へと入る。




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