夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「帯刀さん!!」
「夕凪?どこに行ってたの?」

朝食前に着替えようと思い部屋に戻るとそこには考えごとをしている帯刀さんがいて、私は考えるよりも先に帯刀さんの名を呼び思いっきり抱きつく。
一瞬だけ今の状況を忘れていたけれど目を見開き驚く帯刀さんを見て、すぐ今の状況を思い出し反射的に離れる。
帯刀さんにどう思われているの分からない今、今まで当たり前のようにしていたことは当たり前じゃない。
これ以上夫婦の亀裂が入るのだけは、勘弁してもらいたい。

「あ、ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「え、だって・・・」
「夕凪、おはよう」
「え?」

てっきり私を拒絶しているんだとばかり思っていた帯刀さんが、そんな不安に思って謝る私をそっと抱きしめおはようのキスまでしてくれた。
それはいつもと変わらないことで、今度は私が驚き戸惑う。
昨夜の出来事が嘘のように思える。

帯刀さんはこんな身勝手な私を許してくれた?
なんで?
どうして?

「クック・・・相変わらず夕凪は面白いね」
「帯刀さんは許してくれるんですか?こんな私を・・・」
「あの刻印を見るにはしばらく時間が掛かると思うけれど、それ以外は今まで通り何も変わらないよ」
「・・・ありがとうございます。私これからは帯刀さんの気持ちを一番に考えます」

すべてとまではやっぱり行かないようだけれど、それでも私には嬉しくて南方先生の忠告通りの約束を誓う。

帯刀さんの心は本当に壮大で、私には到底真似なんか出来ない。
私だったらきっとすぐには許すことなんて出来ずにふて腐れていると思う。
でもそれで満足して調子に乗ったらいけないんだよね。
一番肝心なことはまだ許してくれてないんだから。

「約束だよ。私だって普通の男なのだから、人並みに傷ついて落ち込むこともあるのだからね」
「はい。でも帯刀さんが寛大な人でよかった。私もう終わりだって覚悟してたんです。昨夜のことと今朝のことを南方先生に相談したら、それはあまりにも私が身勝手で帯刀さんのことを考えてないって叱れました」
「確かに南方先生の意見は正しいね。まったくもってその通りだよ。・・・それでも私は夕凪を愛している」

ホッとした私は隠し事をせずに南方先生に意見されたことをすべて話し強く抱きしめれば、帯刀さんは厳しく賛同する物の最後はそう囁き話を完結させ再びキスをしてくれる。

それでも私は夕凪を愛している。

いつ聞いても私に元気と幸せにしてくれる言葉。
今はまだ言葉に相応しくないけれど、いつか相応しい女性になりたい。
・・・ならないと駄目なんだよね?

「ありがとうございます。帯刀さん」
「私からも南方先生にお礼を言っておくよ。夕凪はあれに着替えてから来なさい」
「はい、わかりました」

テーブルに置かれた洋服を指差し、そう言ってすんなりと部屋から出ていく。
私の着替える姿を見たくないか。
刻印が見えるんだから、仕方がないよね。
その辺はゆっくり時間を掛けられば、元の関係に戻れるのかな?

「ダメ、ダメ。着替えよう!」

これ以上考えていたら深みにはまりそうになったから、頬を叩き気合いを入れ着替え始める。
私のここでの服装はハイネックにチェックのワンピース。
無難な服装だ。




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