夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「夕凪、愛してる。・・・チュゥ」
「帯刀さん・・・」

止まらないキスの嵐。
いくら見てない所で契約を交わしたとしても帯刀さんにとっては苦痛だったに違えない。
さっきからキスは口にしかされておらず、いつもとは真逆だった。
これ以上もないぐらいキスは念入りで深くそして甘い。
本当はその先もして欲しいけれど、帯刀さんの気持ちが痛いほど分かるから流れに任せている。
それになんとなく今素肌を晒すことに抵抗があった。

四神の神子となった証として、胸元に刻まれた四神の刻印。
これを見るたび帯刀さんは、嫌な思いをして苦しむ。
抱いてくれなくなって、夫婦の絆に亀裂が入るかも?
そんなことになったら私はどうしたら・・・。

「夕凪、そんなに私の口づけがイヤなの?」
「え、そんなことない」
「だったらどうして、そんな悲しい顔をしてるの?・・・私より四神達の方がお好み?」

ふっと頭を過る不安が顔に出てしまったらしくキスは中断されて、帯刀さんは悲しそうにあらぬ誤解を問いいじわるも言ってくる。
そんなこと絶対ないって知っているはずなのに、帯刀さんは本気でそう思っているのだろう。
今の帯刀さんはそのぐらい傷ついて弱っている。
こんな帯刀さんに四神の刻印なんて見せられない。

「・・・ごめんなさい」
「だからどうしてそこで謝るの?図星だから?」
「違います。私は帯刀さんを何よりも愛してます」
「じゃぁ?」
「私が帯刀さんを傷つけたから・・・」

見たこともない崖っぷちの帯刀さんを見ていたらるせない気持ちが込み上げ、涙ながら自分の愚かすぎた行為に謝罪する。
私は馬鹿だから四神の神子になって力を持つことしか思い付かなかったけれど、もしかしたら他にもいくらだって方法はあったかも知れない。

「だったら傷ついた私の心を癒せばいいでしょ?」
「え?」
「いつも私がやってるようにすればいい。それぐらい簡単でしょ?」

そんな私に帯刀さんは誘惑してきて、その先を誘導してくる。

その先・・・。
それで帯刀さんの傷が癒えるのなら、私は喜んでその先をやる。
帯刀さんが言う通り、確かにそれは簡単なこと。

Yシャツのボタンを上から一つずつゆっくりと外していく。

「どこが痛いですか?」
「胸」
「分かりました」

と答えられ、私はそこを念入りに舐めしゃぶる。
私の時はそうやって傷を癒してくれるから、今日はそうやって私が癒す。
帯刀さんの味は、私の大好きな味。

「それだけじゃ物足りない。もっと私を癒してごらん」
「・・・それってやっぱりあそこですか?」
「そう。よく分かってるね?たまには夕凪も私の味を堪能したいんじゃないの?」
「・・・まぁそうですけれど・・・。ここは仮にも病院ですよ」

更なるわがままでしかない究極の注文に心臓は高鳴り声は裏返り、今さらの言い逃れをして見る物のしたいという気持ちが多少ある。
やる前は恥ずかしいけれど、やってしまえばどうってことない。
私は獣になるだけ。

「病院ね。なら夕凪もその気にさせてあげ・・・!!」

拒絶する私に帯刀さんは甘く耳元で囁き検査着の紐を解き素肌を晒すけれど、四神の刻印を見た瞬すぐに着せ直され私から離れ背を向けられた。
完全なる拒否行動に、私はショックを受ける。
薄々感づいていても、やっぱりきつい現実。

いくら心の広い帯刀さんでも、これはさすがにNGなんだね。




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