夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「ねぇシロちゃん?」
「凪、どうした?小松帯刀を呼んで来ようか?」

考えに考え抜きそして決意した私はシロちゃんの名を呼ぶと、シロちゃんはすぐに姿を見せ私の様子を伺いながら不思議そうに尋ねる。

「シロちゃん、青龍の札を持ってるよね?」
「!!」

しかし私は単刀直入に切り出せば、シロちゃんは絶句し私を見つめた。
いくら神でも鈍感な私がそんなこと言うとは、まったく考えてなかったらしい。
だからそんな素の反応をする。

やっぱりシロちゃん達は、天海から青龍の札を取り戻して持っている。
ただやられたわけじゃなかった。

「だったら私に触れさせて。そしたら青龍も戻って、私四神の神子になれるんだよね?」
「それはできない。青龍の札はあの者によって再び穢れている。今の凪では身が持たず、何日も生死をさ迷うことになるかも知れぬ」
「それでもいい。私これ以上帯刀さんの重荷になりたくないの。だからお願い」

私の強い決意を伝えても、答えはやっぱり否定的なものだった。
それはシロちゃんが、私の今の体を気遣ってくれている何よりも証拠。

確かにそうかも知れない。
だけどそれでも私は身を起こし頭を下げ、勝手ないほど必死にお願いする。

「凪、それは言葉の矛盾と言うもの。なんでも小松帯刀に相談することにしたのではなかろうか?」
「言ったよ。それは絶対に変わらない。でもいくらそうしたって、私に何も力がなければいざと言う時危なくなるでしょう?」
「・・・・・・・」

こればっかりは譲れないのか私がどんなに強く言っても、シロちゃんは渋い顔をするだけでしまいには口を閉ざしてしまう。

シロちゃんの言ってることは正論だ。
私の言っていることは、誰に聞いても矛盾している。
でもこれだけは譲れなく私達の話し合いは平行線を辿る一方だったけれど、

「シロ、私からも頼むよ。夕凪の言う通りにしなさい」
「小松帯刀?」
「帯刀さん?」

絶対に反対すると思ったここには居ないはずの帯刀さんの声が、なぜか私の意見に賛成してくれ味方をしてくれた。

これには私もシロちゃんもビックリで帯刀さんを注目すると、帯刀さんは私の元にやって来てベッドに腰を下ろし私の手を握る。

「約束通り四神の神子になることは、反対しないで認めてあげる。だから夕凪も約束通り、これからはなんでも私に話すんだよ。良いね?」
「もちろんです」

物わかり良く帯刀さんはそう言ってくれているのに、表情はどこか悲しそうで握っている力が強くなった。

言葉とは裏腹に、心の奥底では反対しているんだね。
危険なことなのだから反対されるのは当然。
なのに声に出して反対しないのは、隠れて危険なことされるより認めて傍に置いとく。

それが帯刀さんの考えなんだっけぇ?

「小松帯刀まで正気か?凪の体力が正常な状態に回復してからでも、遅くはないのだろう?朱雀も玄武もそうは思わないか?」
−私は今の凪だったら大丈夫だと思いますよ。今の凪には強い決意が見受けられ、なんの迷いもありません。そう言う人の子は、何よりも強いのですよ。
−私も朱雀と同じ意見だ。逆にシロはなぜ分からな・・・いいや分かろうとしてない。

それでもシロちゃんはまだ反対をして朱雀と玄武にも協力を要請するけれど、意外なことに二人も暖かく私に味方をして見守ろうとしてくれる。

なんだかとてつもなく恥ずかしくて期待されている言い方で、これにどう反応して良いのは分からず頬を指でかく。

するとシロちゃんは再び難しい顔をして何かを考え、そして何かを諦めたかのように深いため息をつく。

「分かった。凪の言う通りにしよう」
「本当?ありがとうシロちゃん」

ようやくシロちゃんは渋々折れて、私に青龍の札を預けてくれる。



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