夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「龍馬さんアーネストさん、お疲れ様です」
「ありがとうございますDr.南方」
「すまない。なぁ、南方先生。これはなんて言う飲み物なんだ?」

四凶の札回収が終わり帰ってきた龍馬とアーネストに南方先生はコーヒーを出すと、龍馬は少年のように目を輝かせ興味津々とばかりにコーヒーのことを問う。
龍馬にとってコーヒーは、初めて見る飲み物だったらしい。

そう言えば龍馬には何度か紅茶を出した気がするけれど、コーヒーは一度も出したことがなかった。
コーヒーなんてそんな好きじゃないから、政務が忙しい時に帯刀さんに出してあげる程度なんだよね。

「コーヒーと言ってほろ苦いですが、そこが美味しい飲み物です。インスタントが見つけたので、入れてみたんです。あ、インスタントって言うのは、お湯を注ぐだけで出来るって物です」
そんな龍馬に南方先生は分かりやすく簡単に教えると、分かったのか龍馬は何も入れずコーヒーを飲む。
そして当然のごとく、思いっきりむせる。
コーヒー初体験者が最初に語るありがちなパターン。

「なんだよ?これは薬かよ?」
「龍馬さんいきなりブラックコーヒーはハードルが高いかと思いますよ」
「夕凪はステックミルク三本入れているからね。私はブラックの方が好きだけど」
「は、ブラックコーヒー?ハードル?ステックミルク?」

想像を絶する苦さだったらしくありきたりな感想をボロクソ言う龍馬に、アーネストと帯刀さんからは呆れ馬鹿にした。
しかも微妙に外来語が入っているため、また龍馬の頭を悩ませる。
でも帯刀さんは私と一緒にいるから今では人並みに知っているけれど、最初の頃は龍馬と何も変わらない。
分からない言葉を聞く度に、すぐに理解するまで私に説明を求めてきた。
たまに面倒臭くなって適当に嘘を教えると、なぜかすぐに嘘だと気づかれ酷い目にあっていた。

「コーヒーは何も入れないのをブラックって言って、砂糖とステックミルク・粉状の牛乳で味を調節するんだ。ハードルは段階ってことかな?」
「ですね。この場合それでいいと思います」

と私なりの説明をしては見たけれどイマイチ自信がなくアーネストに救いを求めると、アーネストはニッコリ笑って正しいことを教えてくれる。
その視線はこの前と同じで、なんだか今日も違和感を感じてしまう。

なんか最近のアーネストって、やっぱり少しって言うよりかなり様子がおかしい。
前よりもなんか優しくなった?
・・・あれ?
優しくなったんなら、別におかしくないか。

「そうなんだな。ならちょいと味を調節と」

素直な龍馬は納得し早速砂糖とミルクを入れ再び口にすれば、今度は笑顔に変わり美味しそうにごくごくと飲む。
どうやら龍馬もコーヒーを気に入った見たい。
その姿は可愛らしかった。

「じゃぁそろそろ報告してくれる?」
そう帯刀さんは、ようやく話の本題を切り出す。
危うくそのことを忘れていたけれど重要さを思いだし、崩していた姿勢を慌てて整え気持ちも切り替える。




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