夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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翌朝の朝食後、ゆき達現代組は突然自分の世界に戻って行った。
そして私達薩摩藩は台場に向かうべく旅立つことになるのだが・・・。
てっきり徒歩だと思いきや私は無理矢理駕籠に乗せられ、初っぱなからつまらない旅路だった。



「奥方様、休憩の時間・・・」
「は、ごはん?・・・え?」

あまりの退屈でウトウトと眠っていると藩士のそんな声で目を覚まし、思わず寝ぼけそう答えながら目をこすり駕籠から下りる。
まさか私が寝ているとは夢にも思っていない藩士は、目を見開き唖然と私を見つめたまま動かない。

・・・恥ずかしい。

「・・・夕凪、寝るのは別に構わないけれど、藩士達に迷惑は掛けない。分かった?」
「はい、本当にすみませんでした」

反省しまくる私の元にやって来た帯刀さんから更に追い打ちを掛けられ、私は赤面して小さくなり心の底から謝る。
私自身これには、反省。

帯刀さんは寝ても良いって言ってたけれど、藩士達がどうでも言い私を懸命に運んでいるんだからもう絶対に寝ない。
藩士達に申し訳ないから。

だけど・・・

「私やっぱり歩きます。そしたらもう寝ませんから」
「それは駄目。それこそ藩士達に迷惑を掛けるでしょ?」
「・・・そうですよね。ごめんなさい・・・」

絶対寝れない方法を思いつき頼んでみれば速攻却下され、それはもっともなことでもありますます撃沈される。

あまりにも自分を知らな過ぎて、いつもながら本当に情けない。
藩士達と一緒になって歩いていたら、いろいろと危ないことが起きる。
そもそも何もない所で転けるし、ありえないことをやらかすのが私・・・。

「分かればいい。それじゃぁそんな物わかり良い夕凪に、ご褒美をあげる」
「え、白虎の札と朱雀の札。私が持ってていいんですか?」
「いいよ。実体化するのは禁じるけど、テレパシー(?)でなら思う存分話して良いよ」

反省しまくる私に微笑み懐からそう言いながら、二枚の札を手渡される。
それは絶対に私には持たせてくれないと思っていた白虎と朱雀の札で、私はびっくりしてしまうけど間違えはないらしい。
しかし渡されたのは二枚だけで、玄武の札が見当たらない。

「あの〜玄武の札は?」
「絶対渡さない。自分の立場がちゃんと分かるまで監禁中」
「・・・クロちゃん・・・頑張って・・・」

本能的に何かを察知しそれでも恐る恐る尋ねてみれば、やっぱりと言わんばかりの答えに私はせめてと思い声援を送る。
クロちゃんの悲しそうな気がひしひしと伝わってくるけれど、帯刀さんにしては緩いお仕置きなのかも知れない。

私の頼みを聞き入れてくれた?
だとしたら嬉しいけれど、それでもクロちゃんには気の毒である。
それが自業自得であっても・・・。


「This way,please.lt`ll be safer over here.」
「え、今の声って?」
「夕凪どうしたの?」

どこからともなくかすかではあったけれども聞き慣れた声が聞こえてきて、私は辺りを見回し人を探す。
帯刀さんには聞こえてないらしく不思議そうな顔をするけれども、私は構わず声のする方に足を急がせる。




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