夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「崩壊しかけている世界。なんだか不思議な感じだな」

フッと窓の外を見ると辺り一面の砂漠に遠くの空は時空に歪みなのかオーロラのような不思議な光景で、それは分かっていたとは言えあまりのことに圧倒されそれしか言葉が出てこなかった。
今ここにゆき達は来ているのは知らないけれど、ゲーム通りならもうすぐ四凶が復活して二つの世界は融合が始まってしまう。

ゲームと違って神子と八葉の絆は生まれないから、何もしなかったら手遅れになっていずれ世界は滅びる。
私が見た絶望しかない未来が、再びやって来てしまう・・・。
そうならないためにも私がこの世界でやらなければいけないことは、当初の予定通りゆきに分かりやすく祟くんの真意を教えて分からせる。
でもあの子は意外に馬鹿って言うか分からず屋だから、説得するのにも今回も苦戦しそう。
宰相や四神のことは私が正しかったことは分かっているから、今度はいくらか楽に話が進めば良いんだけどね。

「凪、我らも小松帯刀達も協力するのでから、隠さずすべてを話すがよい」
「うん、そうするつもり。私一人で解決しようとしたらまた暴走しかけて、良くなる物も余計悪化するだけだもん」

さすがに今度のことで自分が愚かなことを身にしみて分かったため、シロちゃんの優しい助言に強く頷き背中をなぜる。
シロちゃんのフワフワな毛並みが気持ち良くて、心が安らぎ優しい気持ちになっていく。


「夕凪、夕食が出来たから持ってきたよ」
「ありがとうございます」

そこへ帯刀さんが私の夕食を持ってきて、私の傍の席に座る。

食事は、湯気がでているおかゆと卵スープ。

そう言えばここはガスも電気も水道も通ってないけれど、非常食やガスボンベや懐中電灯があったからしばらくは暮らせるって、南方先生が言ってたっけぇ?
じゃぁこれは当然非常食。
帯刀さんが暖めてくれたのかな?

「シロ、邪魔だから退きなさい」
「フム。仕方がない」

私の膝で幸せそうにくつろいでいるシロちゃんを案の定邪魔者扱いする帯刀さんに、シロちゃんは不満を持ちつつも言われた通り私から離れ日当たりの良い場所へと移動する。
その姿は猫その物で、気の毒だけれども愛らしい。

「私が夕凪のために、暖めたんだよ。食べさせてあげるから、味わって食べなさい」
「はい。いただきます」

と私の嬉しい予想を帯刀さんは言って、スプーンにすくった卵スープを口元に持ってきて食べさせてくれる。
非常食と言うからにはレトルト食品なのに、すごく美味しくてほっぺたがおちそうだった。不思議と食べるたんびに食欲が増していくようで、私はひな鳥のように口を大きく開け次から次へ請求してしまう。
それは帯刀さんが食べせてくれるだけじゃなくって、私のために暖めてくれた物だから余計にそう思えるんだよね。
こんなことまで家老である帯刀さんにしてもらうなんて、私は本当に今も変わらず愛されて続けている。
こう言う幸せもなくさないためにも、これからはすぐに相談して一人では判断しないようにしよう。
他人から見ればそれは他人任せでいけないかも知れないけれど、私の場合はそれが一番いい解決策だと思う。

うん、絶対。
・・・多分?




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