夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「・・・あれ?ここは」
「夕凪、すまない」
「え?」

気がつくとどこかの病院らしき場所の光景が飛び込んで来たと思えば、背広姿帯刀さんが飛び込んできて私をきつく抱きしめてくれる。
私が大好きな優しくて心地いい場所に、みるみる元気が溢れてきて嬉しくて涙も溢れ落ちていく。

私生きてたんだ。
また帯刀さんの傍にいれる。

「帯刀さぁん」
「もう大丈夫だから。夕凪のおかげで私達は助かったんだよ。・・・得体の知れない荒廃した世界なようだけれど、夕凪さえこうして無事にいれば贅沢は言わない」
「荒廃した世界・・・そうですね。私も帯刀さんさえいれば、どこでもいいです」

悲しくて嬉しくて大泣きする私に、帯刀さんはいつもと同じように優しく包んでくれる。
何も変わらない私の大好きな温もり。
なんだか大変でことになっているようだけれど、私には些細なことで不安は一切なかった。
だってこうして私の傍に帯刀さんがいてくれるから。
そして私達の唇は自然と一つに重なり合って、このまま行けば確実に二人だけの甘い時間になりそうだった。

・・・が、

「お前達相変わらずヒデェ奴らだ。俺達がいるってことを忘れないでくれよな?」
「そうですよ。Dr.南方もそう思いますよね?」
「イヤ私は別に・・・凪さんがご無事で良かったです」

まるでどこかで見ていたよなタイミングで龍馬達が入ってきて、南方先生以外はふて腐れ嫌味をわざと言う。
南方先生は苦笑しながらも、私のことを気遣ってホッとしてくれる。
いかにも三人らしいけれど、三人も帯刀さんのように現代服へと変わっていた。
龍馬は赤いシャツにGパンで銃弾のネックレスを付けていて、アーネストは茶色と黄色のVネックのシャツを重ね着してGパン。
二人共いつもよか若々しく見える。
南方先生は医者らしくYシャツに白衣のなじみの姿。
三人の姿と帯刀さんの姿を見て私はピンと来て、ここがどこだかようやく分かった気がした。

「まったく南方先生は甘いよな。凪、お前南方先生のおかげで助かったんだぞ?そこん所は、感謝しとけよ」
「あ・・・そうだよね。南方先生、ありがとうございます」
「元の世界に戻った時、それなりのお礼をするつもりでいるよ」

厳しく龍馬に言われて私はあの時死にかけていたことを思い出し、それなのに今はほとんど痛みが和らいでいる。
あんなことがあったなんて嘘のようだ。
ますます南方先生を尊敬し私は感謝を込めてお礼を言い、帯刀さんも私のことだからなのか感謝をしているようだった。

私は南方先生に二度も命を救ってもらった。
いくら感謝しても感謝しきれないよ。

「いいんですよ。私は医者として当然のことをしただけですし、そもそも凪さんがあの場所から私達を救ってくれたんじゃないですか?」
「まぁそりゃそうだ。凪がいなかったら、俺達は死んでたからな」
「皮肉な話ですが、凪さんは我々の命の恩人」
「え、え〜??どう言うことですか?」

と身に覚えがない私には到底無理なことを三人揃って言いだし、私の頭に大量のクエッションマークが浮かび帯刀さんに救いを求めた。

何も力がない私にみんなを救えるなんて出来るはずがない。
きっと何かの間違えで、たぶんこれはゆきの白龍の最後の力。
・・・本当に私なんていない方が良かったのかも?



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