夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「え、なんでここに四神達がいるの?しかも玄武は?」
「あれは私の紛い物。分からなかったのか?」
「・・・!!ごめんなさい。でもそしたら・・・?」

いち早く私達の元へと駆けつけたゆきはこの光景を戸惑うけれど、玄武からそう冷たく言われてショックを受ける。
ようやくゆきが自分の過ちに気づいて、どんな状況に置かれているか分かった瞬間だ。

「アーネスト サトウ 南方仁、凪を頼んだよ。小松帯刀のことはどうでも良いが」
「白虎、そんなこと言ったら、凪さんに嫌われてしまいますよ。二人のことなら私とアーネストさんに任せて下さい」
「ええ、必ず私達が護りますから、あなた達は青龍奪還に全力を注いで下さい」

いつの間にか南方先生も来ていたようで、白虎は重傷で動けない私を託す。
こう言う時なのに少しだけ和やかな空気が流れ、少しだけ私は笑顔になれ心にゆとりが出来る。

それに白虎のことだからそんなこと言っても、本心から言っているとは思えない。
白虎は私の気持ちをちゃんと分かってくれる優しい神様だもん。

「神子、騙されてはいけません。四神と天の白虎それから天の玄武は、あの偽りの者に騙されてるだけ。早く正気に戻してあげなさい」
「え・・・そうなの?」
「我らは騙されてなどいない。我らにとって凪は大切な人の子。小松帯刀にしてみてもそう」
「そうだぞ。アーネストだって凪を大切に想っているから、神子よりも凪に付いただけ」
「神子、あなたの方があの者に騙され利用しているだけなのですよ。凪に協力を求めれば、きっと二つの未来を救うことが出来ます」
「・・・・・」

私が駄目だと思いゆきにデタラメなことを言って私を悪人に仕立てようとするけれど、白虎達は懸命にそれを否定しゆきは多分キャパオーバーをおこし涙を浮かべ唖然と立ち尽くす。

どちらを信じて良いのか分からないと、言った所だろう。
自分の信じる物を信じたいけれど、目の前の光景は真逆を物語っている。
私の言ったことが真実だったから・・・・

そこへ龍馬や残りの人達もやって来る。
龍馬以外は当然のようにそんなゆきに駆け寄るけれど、なぜか龍馬は迷わず私の方に駆け寄ってきた。

「凪、一体誰にやられたんだ?」
「・・・龍馬?どうしてこっちに来たの?」
「は、そんなのお前が心配だからに決まってんだろう?」

私を心配してくれる龍馬に信じられず聞いても、分かってないようで即答でそう答えられるだけだった。
龍馬らしい鈍感な答えだけれども、今はそれだけではすまされない。

「地の青龍まで・・・。神子、可愛そうに。すぐ私があの者を消し去り、すべてを取り戻して差し上げましょう」
「え?」

私の予感は的中してしまい宰相をますます怒らせてしまい、安全なはずの私はまたさっきと同じように見えない何かに縛られ宙に浮かぶ。

「凪?」
「凪さん」

「やめて私はまだ・・・キャァ〜!!」
私の体をじわじわ締め付けて電流が走り、痛みに私はまた悲鳴しか出せなくなる。
そんな私を助けようとして白虎達は戦っているけれど、宰相には歯が立たない以前に実体ではないのでダメージを与えられない。
段々追い詰められていく姿を私は見届けることさえも出来そうにもなく、感覚が失われ意識も遠のき始めてくる。

私には帯刀さんを救うなんて、やっぱりできっこなかったんだ。
あの時私は運命に抗うことなく死んでしまえば、こんな苦しい思いなんかしなかった・・・。
でも私は後悔してないよ。
だって今の今まで私は幸せだったから。

「夕凪〜」

絶望だけが残り何もかも諦め掛けた瞬間、遠くの方から愛しい人の私の名を呼ぶ声が聞こえた。
私にいつも勇気をくれる声。
その声が諦めるなと言っている。

するとかすかにブレスレットが暖かくなり、大きくて優しい光を放した気がした。



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