夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「いけませんね。凪さん。八葉も四神も神子の物なのですよ」
「え、あんたは宰相・・・」
「宰相だって?どうしてそんな人がこんな所に?」

いるはずもない憎き声が背後から突然してくる。
口調や言い方は柔らかくても、言っている内容はかなり酷い。
天海にとってゆきは愛しい人の子なのだから当たり前かも知れないけれど、私にしてみれば笑ってしまいたいぐらいのバカバカしいこと。

八葉も四神も、自分の意志がある。
ゆきの物なんかじゃない。
護りたい者は、彼らの意志で決めること。

「アーネスト、気をつけて。こいつは狭間の神で世界を滅ぼうそうとしている張本人」
「!!だって彼は宰相・・・」
「あなたは何か誤解しています。私はただ・・・」
「問答無用。ならあなたはどうして夢の屋さんを使って、神子に四凶の札を渡すの?そもそも四神の偽物を見破れない神子なんて、最低最悪じゃない?」

アーネストにはまだ詳しい話をしていなかっため簡単に話しても余計戸惑うだけで、宰相
はシラを切ろうとしたため言い逃れ出来ない矛盾を叩き付け格好良く決めて見せた。

宰相はきっと私のことを、ただの力がない人の子程度にしか思ってないだろう。
確かにその通り、私には誰か護れる力はない。
だけど私にはゲームで得た知識がある。
まぁまだ宰相を攻略してないから、世界を滅ぼす本当の理由は知らないけれど・・・。

「・・・やはりあなたを生かしておくのは間違えだったようですね。大人しくしていたら、もう少し生き永らえれた物を・・・」
「え・・・?」
「神子の災いをもたらす人の子よ。滅びなさい」

ようやく観念したのか私の問いには答えずに突如恐ろしい邪気を放しながら、訳の分からぬことを言いだし攻撃をしかける。
逃げる前に私は金縛りにあい動けず、体中が何かに締め付けられ耐えられない痛みが襲う。

「キャァ〜!!」

「凪さん!!どうして動けない?」

ただ悲鳴しか上げることは出来ない私に、アーネストは必死に私の名を呼ぶだけで助けてくれる気配がない。
辛そうで悔しそうに私をただ見つめてるだけ。
これも宰相の力で、アーネストは必要だから邪魔されないようにしてる?

私はここで何も出来ないまま、あっけなく死んでしまうのだろうか?
格好いいことを格好良く言った癖に、結局私はやっぱり無力な馬鹿女。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。

「キャァ〜!!・・・助けて・・・帯刀さん・・・」

どうにか悲鳴以外の言葉が発せてこのよで愛しい人の名を呼び助けを求める。
でもいくら助けを求めても肝心の帯刀さんは、熱で意識はないまま気づいても答えてもくれない。

それは帯刀さんが悪いんじゃない。
帯刀さんは何度となく暴走しようとした私を止めてくれた。
さっきだって止めてくれたのに、私はまたすぐ同じ過ちを起こして・・・。
だから私がすべて悪い。

「小松帯刀も本来は神子の物。あなたの物など、この世には何もないのです」
「そうはさせん」
「え、そなた達は・・・?」
「凪、大丈夫ですか?もう私達が来たから大丈夫です」
「・・・白虎、朱雀・・・?」

絶体絶命の大ピンチで死を覚悟して目を瞑った時、風のように何者かが私を苦しみから救ってくれる。
痛みを堪え目をうっすら開けると、そこには白虎と朱雀の完全版の姿でいた。

「凪、遅れてすまない。時空の狭間の神。よくも我らの主をいたぶってくれたな」
「玄武。どうして何も反撃しないのです?もう少しで凪は死んでしまう所だったんですよ」
「う・・・申し訳ない。しかし凪のおかげで私も完全復活した。思う存分闘えるぞ」

と激怒する朱雀にお札のクロちゃんが謝り玄武へと変化し、青龍以外の四神が同じ場所に集結する。




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