夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「小松婦人、大丈夫ですか?心配になって様子を見に来て良かったです」
「アーネスト。助かったよ」

原因はアーネストが帯刀さんを負ぶってくれ、重さから解放された私はホッとして笑みを浮かべる。
アーネストのおかげで、最悪自体は免れた。

「それにしても小松さんはすごい熱があるじゃないですか?なんでこんな所に共も付けず・・・無茶をしますね」
「それはきっと私のことを心配して探しに来てくれたんだよ。もし帯刀さんが来てくれなかったら、私ゆきに玄武の札を見せて大変なことになってた。・・・私ってどうしていつもこうなんだろう?」

帯刀さんの取った行動が信じられないと言うアーネストの表情と言葉に、私は事情を話していくうち自分の愚かさを実感してしまい肩を落とす。
こんなこと一体何回あって、私は何回反省したのだろうか?
なのに私は何一つも学んでない。

「小松さんはあなたのことを何よりも大切にしてるんですね。・・・小松さんが本当に羨ましいです」
「アーネスト、どうしたの?」
「いいえ、なんでもありません。とにかく早く行きましょう?」

悩みまくっている私にアーネストは悲しそうにそんなことを言って、帯刀さんを本気で羨ましがっているようだった。
それはあまりにもいつものアーネストと違って気になり聞いてみるけれど、首を横に振られるだけで話を変えられ先へ急ごうとする。
いかにも何かありますと言っているように見えどうにかして探ろうと考えるけれど、突如ピカッとあることが閃きアーネストの顔を覗き込みニヤリと笑ってしまう。
この憶測が正しければ、私はアーネストの弱みを初めて握れる。

アーネストって、意外に可愛い。
良く考えたらまだ20歳だもんね。

「どうしたのですか?」
「アーネスト、ひょっとしてゆきに惚れた?」
「・・・は?いきなりなんでそんな展開になるのでしょうか?」
「だってアーネスト今恋してる顔になってたよ?ゆきを狙うライバルが多いと思うから、早いうちにアピールしといた方が良いんじゃない?」
「残念ながらそれはハズレです。小松婦人は相変わらず疎いですね」

キョトンとするアーネストに私は得意げになって閃いたことの問い出さし優しく助言してあげたのに、思いとは裏腹にクスッと悪魔の笑みを浮かべ全否定されてしかも馬鹿にまでされてしまう。
それはいつものアーネストに戻っていて、これ以上深入りしたらおもちゃされるのは確実。
心の奥底の私が必死にブレーキを掛けた。

「それなら別に良いんだけど・・・」
「私は出来る限りあなたの力になりますよ。そう約束したでしょう?紳士たる者、二言はありません」
「え、あうん。ありがとう」

紳士的な誓いなのかそう言い私の手の甲に軽くキスをしてくるから、私は動揺し言葉を失って赤面する。
それはきっとイギリス人にしたらなんともなく極端に言えば指切り程度の感覚なんだろうけれど、私は日本人で帯刀さん以外の男性には免疫がないもんだから心臓が激しく高鳴り恥ずかしくてたまらない。
こんな所もし帯刀さんに見られたら、また悲しい思いをさせてしまう所だった。
やっぱり今日のアーネストは、どこか何かおかしい。

・・・・・。
ひょっとして、新手の嫌がらせ?



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