夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
12ページ/33ページ


「・・・あなたとはいくら話し合っても、平行線をたどるだけ見たいですね。私早く玄武を助けたいんです」
「助ける?どうやって居もしない玄武を、あんたは助けるって言うの?」
「何を言ってるんですか?玄武ならあそこで、苦しんでいるんです」

ゆきも私に対して頭に来ているのが丸わかりでそろそろ話は打ち止めと言う流れになったんだけれど、冷静さ少々失っている私は帯刀さんの言いつけを忘れ玄武の札を懐から出しゆきに見せつけようとする。

私がここで玄武の札をゆきに見せたら、一体どんな顔をするんだろうか?
まさかそれでもゆきは信じないで偽物とか言うんじゃないよね?
いくらなんでも、そこまで性格悪くないか。
でもでもここで私が間違えていないことを証明する。

「馬鹿言うのも、いい加減にしてよ。玄武なら」
「夕凪!!」

玄武の札を出そうとした寸前その腕を強く掴まれ、帯刀さんの声が私の名を呼ぶ。
振り向けばやっぱり帯刀さんがいて、険しい表情で私を睨んでいる。
どうしてそんなに怒っているのかよく分かっているため、何も言えず恐怖感が生まれるだけ。
言いつけを破りそうになった一部始終を聞かれてしまい、これでお説教確定だ。

「小松さん?」
「神子殿、いつもいつも妻が迷惑を掛けてすみません。それでは私達は失礼します」
「帯刀さん、痛いです」

ゆきもこの帯刀さんの登場には驚いていると、帯刀さんは構わずそう言って腕を無理矢理引っ張り連れて行く。



「 ・・・南方先生とサトウくんは?」
「南方先生は負傷者の治療中でアーネストは一緒だったんですが、ゆきとサシで話したかったから少し外してもらいました」
「そう・・・」

何を話していいのか分からなくて黙ったまま視線を地面に向けていると聞かれると思った問いを問われ、怒られるのを覚悟で正直に答えれば随分薄い反応をされ会話は終了。
それに違和感を感じようやく顔をあげ前を見れば、帯刀さんの表情は顔は真っ赤でどっと汗が流れ呼吸も荒い。
私でもただ事じゃないことが分かり、帯刀さんの額に手を当てれば燃えるように熱い。

風邪をひいてる?

「大変。南方先生の元へ急がないと」
「夕凪は冷たくて気持ちがいいね」
「え、帯刀さん、しっかりして下さい」

今の今まで至って普通だった帯刀さんだったのに、いきなり私を抱きしめ気持ち良さそうに意識を失い倒れこむ。
痛いし重たいし熱苦しくて逃れたかったけれど、それでも私は懸命に帯刀さんを支える。
こんな状態にも関わらず普通でいられたのは、私のことを心配してくれてそれどころしゃなかったから。
それで私が無事だと分かって安心した途端、何かの糸が切れ一気に容態が悪化した。

それほど私は帯刀さんに心配をかけていたんだね。

「・・・ごめんなさい。帯刀さん」

私に出来る精一杯の感謝を込め謝り歩こうとするけれど、帯刀さんは重く少しでも動けばバランスを崩し倒れるのはほぼ決定。
動かなくても押しつぶされるのは、時間の問題かも知れない。
しかし気を失っているはずの帯刀さんが、私から不思議なことになぜか遠ざかっていく。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ