夢幻なる絆

□8.闘いの仕方
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「なぁお嬢、俺達も少し凪達を手伝わないか?凪達はこの戦で負傷した人達の手当てをして、食料を調達しているそうだ。晋作のことは帯刀に任せとけば、大丈夫だろうから」
「何を言ってるんですか?確かに負傷した人達の手当ては大切ですが、早く玄武を呪詛を浄化しないと、この戦は終わらないし今以上の負傷者が出てしまいます」
「さすが私の天使。先のことまで考えてるなんて偉い」
「ゆきちゃん、私もそう思うよ」

龍馬の提案を聞くなりゆきは柄になく冷静な口調で全面否定すれば、都と夢の屋さんは顔を緩ませそんなゆきの味方をする。
二人共ゆき命だから無理もないし、夢の屋さんにとっては都合の良いことだろう。

「それに小松さん達だけじゃあまりにも危険すぎる。凪さんは心配じゃないんですか?」
「私は帯刀さんを信じてる。・・・二人だけで話があるの」
「いいですよ。なら少し離れて、話しましょう」

なぜかこれにはまったく非がない私に強気な口調で分かりきっていることを喧嘩腰で言ってくるゆきに、気が短い私はつい何かがプッチと切れて喧嘩を買ってしまいそう切り出してしていた。

言われなくても私は帯刀さんのことが気がかりで心配しているけれど、私はゆきと違って帯刀さんのすべてを信じてる。
私と帯刀さんの絆は、何よりも強くて切れることはない。

「うん。夢の屋さん、絶対盗み聞きしないでよ」
「福地さんはそんな卑怯なことしません」
「・・・・・」

念のためそう言うとゆきが怒ったまま断言してくれ、夢の屋さんは小さくなり監視をされる恐れはなくなった。
今日のゆきは以前とは違って、私のことを嫌っているのがよく分かる。

今さらの気がするんだけれど・・・。




「それで話はなんですか?」
「ゆきは本当に、あれが玄武だと思ってるの?」
「はい。凪さんには分からないと思いますが、玄武は今すごく苦しんでます。だから早く楽にしてあげたいんです」
「・・・愚かな神子・・・。あんたって本当に騙されやすい、箱入り娘なんだね?」

女同士さしでの話が始まり自信を持って断言するゆきが、心底おかしくなり小馬鹿にしてあざ笑う。
もし私が遙か5のゲームキャラだったら、間違いなく勝手に主人公をライバル視している嫌味なキャラ。
嫌われ者。
でも現実はそうじゃない。
玄武はもうとっくに呪詛から解放され、平和で幸せな毎日を送っている。
そりゃぁ帯刀さんにお仕置きを喰らっているかも知れないけれど、それでも玄武は幸せなんだと思う。
それはきっと白虎も朱雀も同じ。
私に言わせれば囚われの身になっている青龍を早くなんとかしてあげたい。

「私は誰にも騙されてません。そうやって他人を疑うことしかできないなんて可愛そう」
「誰も信用してないあんたにだけは言われたくない。私はあんたと違って信用している人にはすべてを話して、一緒に解決方法を探してもらってる」

よくもそこまで根拠のない自信が持ててここまで言い切れるもんでなと感心しながらも、あまりのありえない許せない言葉に我慢できずムッとなりゆきを睨み言い返す。

他人を疑うことしかできないなんて可愛そう。

私はどっちかって言ったら、すぐに人を信んじて痛い目を見る方。
そりゃぁゆき見たく無条件に他人を信じるわけでもないけれど、疑うしかできないって言うのは言いがかりも良いとこだ。



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