夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「ねぇ帯刀さん、私アーネストに会いたいんですけれど、今って会えますかねぇ?今時期いろいろ難しい気もしますが」
「そうだね。今長州は四カ国連合艦隊と戦おうとしてるから」
「それ高杉を筆頭にいるんでですよね。玄武がいないって言うのに、どう戦おうとしてるんだろう?」

帯刀さんと二人だけの夕食中アーネストのことが気になり聞いてみると、やっぱりの答えが返ってくるけれど、ゲームとはもの凄く違う状況に頭を悩まし首をひねる。
ゲームだと玄武を使うんだけれど、実際は玄武はこっちにいて高杉に使われることはない。

高杉は声も良いし男気があっていいんだけれど、私恨まれているようだしちょっと恐い。
・・・まさか剣だけで、戦わないよね?
んなバカな・・・。

「まったくだよ。私は一度高杉と話し合って辞めされるつもりで台場に行くけれど、夕凪はここに・・・私が護るから一緒にきなさい。シロ達に任せているとは言え、夕凪をここへ置いていくのは不安でたまらない」
「はい、わかりました。迷惑を掛けないように、私なりに頑張ります」

当たり前のように私を安全のためお留守番だと思っていたら、意外なことに言い換えられて私も同行することになった。
そう思われて嬉しくなった馬鹿な私は、台場がどう言う状況になっているか良くも考えずに笑顔で頷く。
台場は戦場でいくら帯刀さんが護ってくれると言っても、私なんかが行ってはいけない所。
頭ではよく分かっている。
でも正直に言えば戦争がない国で平和にのほほん育った私になど、戦争の本当の恐ろしさなんて分からないから言えるのかも知れない。
なんだかんだと言っても結局、人は百聞は一見にしかず・・・だと思う。

「あんまり張り切るんじゃないよ。そのついでにサトウくんを捜してあげるから、けして私の傍から放れたら駄目だよ」
「何から何まですみません。けして帯刀さんの傍から、放れません」

最後はいつも通りすべてにおいて帯刀さん任せになってしまい、何も出来ない私は帯刀さんの言いつけを守って大人しくするだけ。

私にも戦える何かがあればいいのに・・・。

「所でさっきから気になっていたんだけれど、これ一体何なの?」
「メリケンサックです。護衛用に持ってきました。ほら私って殴る威力って普通の人より強いですから、これはそれをさらに威力を増加させる道具です」

今は食事中のため外してお膳の隅に置いたメリケンサックを、帯刀さんは手に取り興味津々と見ながら問うので私は正直に答える。

私のパンチは決まれば強力だとかで、みんなから恐れられていた。
頭に血が上ると手加減が出来なくなって、力任せになんでもするタイプなんだよね。
だからメリケンサックは、私にピッタリの武器。

「確かに夕凪の殴る威力は並み以上。護衛にはなるかもね」
「はい。ただ私には戦う才能はまったくないので、一撃を食らわせるのが精一杯だと思いますが」
「それで良い。後のことは私に任せなさい。それから無理は禁物だよ」
「分かってます。無理も無茶も絶対にしません」

過去に何度か私に殴られている帯刀さんも実力を認めてくれたけれど、それでも私に戦わせる意志はないようで堅くそう誓わせられる。
私もこれで戦うつもりなんてないから、強く頷き約束した。

「それならいい。じゃぁこの話はもうおしまい。早く食事を済ませて、庭に出るよ」
「庭に?なんでですか?」
「それは出てからのお楽しみ。ほらまた生野菜に手を付けてない」
「ギク・・・」
「食べさせたあげるから、口を開けなさい」
「・・・はい。あ〜ん」

明らかに何かを隠す帯刀さんに不思議に思ったのは束の間で、視界に入らないようにしていた生野菜を発見されてしまった。
そして苦しい言い訳もさせてくれず、生野菜を強制的に食べさせられるハメになる。



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