夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「シロちゃん。シロちゃんは絶対神子の元に行かないよね」
「当たり前だろう?我の居場所は、凪がいる場所。だから心配するでない」

いつもと変わらない優しいシロちゃんは迷うことなく断言してくれて、私の顔をペロペロとなめ始める。
するとクロちゃんは私の首に巻き付く。

「私も神子の元へなど行かぬ。凪を護るだけだ」
「二人ともズルいですよ。私も凪の傍にいますから、どうか安心して下さい」
「ありがとう三人共」

シュウちゃんまでもが、そう言い私の肩に乗る。

「帯刀、今日はいいのかよ?」
「少しぐらいは妻と四神の絆を深める時間をあげないと、妻を裏切ることになりかねないからね。まぁそんな馬鹿な真似をしたら、神子殿の手に渡る前に破り燃やすだけ」
「・・・お前あいつらを神だと思ってないだろう?」
「ああ、まったくもって。妻の護衛としか思ってないよ」

そんな私達を眺めながらの、帯刀さんと龍馬の会話。
私を思ってのことだと分かっていても恐ろし過ぎて、私の涙はピタリ止まり顔の筋肉が引き攣る。
それはシロちゃん達も一緒で、ますます帯刀さんを恐れるだろう。
たちまち異様な空気が流れ、沈黙はしばらく続きそうになる。

でも、こんなんじゃいけない。

「し、シロちゃんも戻って来たので、私が調べてきたことを話しますね」

とっさ的にそう思った私は声を上げ、無理矢理沈黙を断ち切ろうとする。
こんな場面が苦手なのだ。

「そうだね。そうしてくれる?」
「はい。この世界を滅ぼそうとしているのは宰相と瞬の弟祟くんです。それでもって夢の屋さんは宰相の部下で、四神の札と四凶の札をすり替えて神子に渡してるんです」

帯刀さんの合図で私は大まかにゆっくり話うまく説明出来たつもりだけれど、それは突拍子もないことで龍馬は目を見開き信じられないと言う視線で私を無言のまま見つめる。
帯刀さんとシロちゃん達にはさっき話して、あっけないほど素直に信じてくれた。

それは私の言葉だから、どんなことでも信じてくれるんだよね?

「龍馬にはやっぱりちょっと衝撃過ぎたようだね?」
「・・・帯刀は信じたのかよ?いつもなら、非合理的じゃないとか言う癖」
「夫はどんなことでも妻の言葉は信じる物だからね。それに私は妻の嘘は簡単に見抜けるよ」
「まぁ確かに俺も凪の嘘は見抜けて今は嘘を付いているとは思えないが、これはあまりにも現実身がないんだよな?お嬢達によくしてくれている宰相とあの夢の屋が敵。もしそうだとしたら、あいつらはお嬢達を騙してるんだな?」
「うん、そうだよ。まぁ夢の屋さんは敵ではなくって宰相に逆らえないだけなんだけれど、これは紛れもない現実で青龍はきっと宰相の所にあるんだと思う」

帯刀さんの意見を聞いてもまだいまいち信じられず困ったように言う龍馬に、私は力ある言葉で龍馬の目を見ながら懸命に説得を試みる。

心優しい龍馬を説得して納得させなければ、アーネストになんか納得して貰えるはずがない。
南方先生は人が良いから、まぁなんとか・・・なるのかな?




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