夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「まったく君は馬鹿だね。毎度のことながら、呆れきって失望するよ。後始末をする私の身になってみなさい」
「うっ・・・ごめんなさい」

ゆき達が帰り約束通り残ってくれた龍馬を前にして、私のした失態に帯刀さんは激怒し頭を何度もこつかれる。
真実過ぎて我に返った私は、柄にもなく思いっきり反省中。
確かにあそこで暴露したら怪しまれる。
せめて夢の屋さんがいない時、言えば良かった。

「帯刀、凪をいじめるな」
「クロは黙ってなさい。夕凪は馬鹿だから、ちゃんと叱ってあげないと分からない」
「凪は馬鹿ではない。大体失望したんなら、さっさと離縁すればいいだろう」
「り離縁?そんなの絶対にいや」

そんな私をクロちゃんだけが懸命に庇ってくれるけれど、それはあまりにも残酷過ぎる未来に私は脅えた。
離婚なんてしたくない。
でも私が馬鹿でトラブルメーカーだから、愛そう尽かされても当然。

「どうして?私は夕凪のすへてを愛してるんだよ。離縁する必要はどこにある?」
「帯刀さん・・・」

しかし帯刀さんの気持ちは変わることなく、当然とばかりに言いながら私の肩を抱き寄せる。

・・・良かった。

「ならなぜ帯刀は・・・」
「クロ、帯刀に凪のことで言い争うのは辞めなさい。馬鹿らしくなるだけです」
「まぁ確かに。二人のことをお嬢達の世界の言葉では、馬鹿夫婦と言うらしいぜ?」
「・・・・・・」

帯刀さんの性格をよく知るシュウちゃんと龍馬はうんざりとばかりにそう言い合うけれど、龍馬の台詞が恥ずかし過ぎて反応に困り何もかも言えなくなる。
確かに私達は馬鹿夫婦。

「馬鹿夫婦ねぇ。夕凪、どんな意味なの?」
「それは・・・人目を気にせずいちゃつく夫婦のことです」

多分薄々理解してると思う帯刀さんは龍馬ではなくあえて私に意味を問い、私は仕方なく視線を泳がせながら小声で意味を答える。
そんな言葉の意味を教えたくなかった。

「そう。でもそのどこが、悪いの?」
「常識がないって、周りから見られるんです」
「分かった。なら外では控えるようにしよう。それでいい?」
「まぁ・・・」

前回同様人目をそれなりに気にする帯刀さんは、強気な姿勢を見せる物のあっさりと覆す。
その判断は正しいことなのに、ちょっと残念に思う自分がいた。
私は馬鹿夫婦でいたかったのだろうか?
それが顔に出てしまったのか帯刀さんは、私にクスッと悪魔の笑みを見せる。

「大丈夫。その変わり家の中では、覚悟しときなさい」
「・・・・・」

と耳元で甘く囁かれ、耳株を甘噛みされてしまう。
どうやら龍馬は、他人と見られてないらしい。
それとも家の中だから、周囲の目を気にしないとか?

「馬鹿夫婦の意味が十分過ぎるほど分かったから、そろそろ本題に進まないか?」
「そのようだね」
「でもシロちゃんが、まだ帰ってきてない・・・」
「我なら、ここにいる。たった今戻って来た」

龍馬はうんざりとばかりに話題を変えようとし帯刀さんもその気にでいるけれど、私はシロちゃんがいないことを主張しかけると戸は開きそう言いながらシロちゃんが入って来る。
その姿を見たらゆきのことを思い出し、感極まってシロちゃんを力の限り抱きし待ってしまった。



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