夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「夕凪、おかえり」
「え、帯刀・・・さん?」

空から落ちる私を帯刀さんはうまくキャッチしてくれ、私にいつもの微笑みで唇は塞がれた。
今までにない展開に私はパニックになりそうだったけれど、キスで落ち着きを取り戻し帯刀さんをギュッと抱きしめる。
半月ぶりの再会。

「今度の帰宅は早かったね。出来ればもう少し・・・いいやこれでよかった」
「帯刀さん、ただいま。・・・あれ、ここはどこ?」

感動の再会だったのに私はある異変に気づき辺りを見回せば、そこは我が家の庭ではなく知らない場所だった。

「ここは河原宿だよ」
「河原宿って、ちゅじゃなくって長州のですか?」
「そうだよ。よく知ってるね。いいこいいこ」

答えられた場所はとんでもない所に驚きながらも正しい答えを言うと、帯刀さんは完全に子供扱いして私の頭をなぜる。
それでも嬉しく思う私が・・・だから私はドM。

そんなことより帯刀さんが河原宿にいるってことは、ひょっとして今はゲーム上4章になる?
前は3章だったみたいだから、この世界でもまだ半月しか経ってないってこと?
そしたら帯刀さんが言っていた早い帰宅にも説明つく。

「帯刀さん、私帯刀さんに伝えることがたくさんあります」
「それは緊急を要すること?」
「はいそうです。出来ればシロちゃん達にも伝えたいのですが、連れてきてますか?」
「連れてきているよ。万が一夕凪が帰ってきた時に、ちゃんと護衛が出来るようにね」
「相変わらず要領が良いんですね。それじゃぁ早速部屋で、詳しく話します」

そう思ったら帯刀さんにこれから起こる事とラスボスの正体を知らせるべく、話を持ちかけ事の重大さアピールしてみる。

宰相の天海は実は狭間の神様で神殺しをしたり、夢の屋さんを使って四神を四凶にすり替えた悪の親玉。
そして神子と一緒にいた銀髪のイケメン瞬の弟祟くんが、世界を滅ぼそうとしている。
でもそれはそうしなければ自分が消えてしまうからであって彼はそれほど悪くなく、祟くんの心の叫びを聞かないでほっといた神子と神子にしか頭にない実兄である瞬が悪いこと。
可愛い子には、罪はない。
だから私は二人に説得って言うか力尽くで分からせて、祟くんの未来も考えて欲しいこと。
全部話すつもりだ。
どれもこれもすべてが嘘っぽい話だけれど、帯刀さんとシロちゃん達なら信じてくれるはず。

「そうだね。でもその前に、どうやら来客のようだ」
「ん?」
「あれ、凪。お前いつ戻って来たんだ?」

帯刀さんも頷き早速と思いきや帯刀さんは誰かを見つけ私も視線を合わせれば、こちらにやってくる龍馬の姿が見えて私にそう問う。
辺りには誰もいないけれども、多分龍馬は神子達を連れてきた。
シロちゃんをもらいに・・・。

「たった今だよ。龍馬私白虎の札を神子なんかに絶対渡さないからね」
「それは俺も分かってる。俺はただ仲介役を引き受けただけでだ」

ちょっと感情を高ぶらせて自分の前から言っている意志を強く言えば、それには龍馬も十分分かっているようで批判はされない。

それでも仲介役を引き受けてしまったのは、相手が想いの人だからだろうか?
だとしたらいつか龍馬は、神子の味方をするようになる?
・・・なるよね。普通・・・

「まったく龍馬は余計なことをしてくれるね。まぁ適当にあしらうしかなさそうだ。厄介事を持ってきた変わりに、後で龍馬にも夕凪の話を聞いてもらうよ」
「本当に、すまん。話ぐらいなら、いくらでも聞いてやるからな」
「じゃぁ夕凪の着替えが済ませたら行くよ。さすがに今の姿ではまずいからね」
「確かにそうだな。分かった」

現代服の私を帯刀さんは気遣ってくれてそう言うことになり、私達と龍馬は一端別れることになった。



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