夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「ただいま・・・あれ?」

主のご帰宅で声が聞こえるのだか異様な空気に気づき、挙動不審とばかりに私達の元にやって来て様子を伺う。
こうなるのも、無理もない。

「・・・純ちゃんは知ってるの?お義姉さんの旦那さんのこと?」
「え、あ聞いたんだ。うん、姉貴からすべて聞いたし、証拠もいろいろと見せられたからな」

弟の帰宅によってようやく沈黙から解放された雪ちゃんは弟に確認するかのように問えば、ようやくこの状況理解した弟は髪をかきながら慎重に答真実だと答えソファーに座る。
しかし雪ちゃんはすぐ信じてくれる様子はなく、また黙り再び深刻に考え込んでしまう。

やっぱり弟が例外で、普通は雪ちゃん見たく信じてくれない。
それは私と雪ちゃんは、赤の他人だから?

「ごめんね。変なことカミングアウトしちゃって」
「そう言えば姉貴はなんでうちに?」
「あんたに帯刀さんをクリアーして欲しかったんだ」
「・・・やっぱり無理だったんだな。いいよやってやる」
「悪いね」

暴露したことを今さら後悔して謝る物の目の前で弟に用件を頼めば、弟もイヤな顔をせず快く引き受けてくれPSP本体のまま渡す。
弟もこうなることを予想していたらしい。

「そう言えば姉貴に頼まれていた物買っといたぞ。はい、メリケンサックとスタンガンと睡眠ガス。どれも言われた通り店で一番、強力な物を買ってきたから」
「何から何までありがとう」

今度は弟がそう言いながら、紙袋を取りだし私に手渡す。
それは私が以前頼んでいた物で、見た目以上に重くズシッとしている。
戦うすべも戦うセンスもない私が懸命に考えた結果、手っ取り早く習得する方法は痴漢撃退グッズだった。

まぁ怨霊には効果がないとしても生き物だったら、一瞬の隙ぐらいは付けると思うんだ。
一瞬の隙さえ与えられば、後は帯刀さんがなんとかしてくれるはず。
本当は一人でもなんとか出来れば良いんだけれど、私には何も出来ないから仕方がない。

「じゃぁ、私もう帰るね」
「なんだよ?夕食食っていけばいいじゃん」
「そう言うわけは行かないよ?新婚さんの夕食を邪魔するほど、無粋じゃないからね」
「・・・本当なんですね?」
『え?』

用事が終わればこの家には用はないのでちょっとからかうつもりでそう言い、おいとましようとすると雪ちゃんが独り言のように呟き私と弟は驚きハッと雪ちゃんを見つめる。
今夜結論が聞けるとは思わなかったのに、一体雪ちゃんの心の中でどんな心境の変化があったんだろうか?
それともあまりの非現実的なことに、馬鹿馬鹿すぎて頭が怒れた?

「純ちゃんとお義姉さんが嘘付いてとは思えない。信じられないけれど、信じてみようと思う」

と雪ちゃんは前向きな結論を、ゆっくりと私達に告げてくれる。
思っていた以上の良い答えが嬉しくて、涙が溢れた。
弟以外にも信じてくれる人が、もう一人ここにいた。

「姉貴泣くなよな。姉貴はそんな涙もろくないだろう?」
「・・・だって嬉しいから雪ちゃん、ありがとう」
「とんでもないです。それで良ければ、詳しく話して下さい」
「もちろん、そのつもりだよ。・・・え?」

信じてくれたからすべてを話そうとした時、シロちゃんからもらったブレスレットが突然光り輝き出す。
暖かい光。

「姉貴それは一体何なんだよ?」
「知らない。こんな展開初めてだから・・・」

「・・・お義姉さん?」

私自身今の状況に戸惑い弟の問いにもちゃんと答えられずにいると、今度はいきなり体が宙に浮いたと思ったら辺りの景色が途切れ
そして景色は外の空へと変わる。



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