夢幻なる絆
□7.未来改造計画
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「凪さん、待って下さい」
「南方先生、どうしたんですか?」
なぜか南方先生に呼び止められ、私は後ろを振り向き首を捻る。
ゆきとの会話があまりにも大人げなかったとか言われるだろうか?
でも南方先生はそんなことを言うキャラではない。
だったら何?
「大丈夫ですか?」
「え?」
真面目な顔で心配され、私はその答えに戸惑う。
心配される理由がわからない。
まさかそんな展開になるなんて予想外だ。
「ゆきさんに分かってもらえなくて、ショックを受けたんじゃないんですか?」
「ああ、そのことか。気にしてないから、平気ですよ。私は私のやり方で未来を変えるだけです」
言われて南方先生らしいことだと分かり、笑みを浮かばせ明るく返答する。
南方先生は誰にでも優しいから、多くの女性に誤解されそうだね。
私は帯刀さんがいるから誤解なんてしないけれど、咲ちゃんが一番の被害者かも知れない。
優しくするから、辛い片想いをするハメになった。
罪作りな人。
「それなら良かったです。やっぱり凪さんは強いですね」
「恋する女性は無敵なんですよ」
「そうでしたね」
「だけど私本当に強くなりたいです。帯刀さんと一緒に闘える力が欲しい」
そんなことをまさか私が考えているとは思ってないだろう南方先生は本当に安心したのかニコッと笑いそう言い、私は調子に乗って返答と同時にゆきを見て心に秘めている本音もポロリと言ってしまった。
帯刀さんには絶対言えないこと。
「闘う力ですか。何か秘策はあるんですか?」
「シロちゃん達に相談しようと思います。もちろん帯刀さんにはしばらく秘密にしといて下さい」
なぜか南方先生には、すんなりと話せてしまう。
それはきっと南方先生はになら止められずに応援してくれるでからであって、帯刀さんに限らず龍馬や西郷さんだったら確実に危ないことを知ってるから止められる。
経験者だから私達と違って闘うってことはどんなことだか知っているから。
覚悟がないと駄目なんだと思う。
だけど覚悟なら私にだって、とっくの昔にちゃんと出来ている。
自分の身は自分で護るだけではなく、帯刀さんのことを護りたい。
そのためなら命だって捨てる覚悟。
「ちゃんと帯刀さんにも、相談しないといけないですよ。二人は夫婦なんですから」
「え、そしたら止められてしまいます」
「それでもです。もし帯刀さんが凪さんに言えないことをこそこそと隠れて危険なことをしようとしたら嫌ですよね?」
「・・・はい。なんでも話して欲しいです」
予想とは逆に反対されムッとなる私だったけれど、南方先生の正論過ぎる問いにすぐ我に戻り考え直す。
隠し事をされるのは一行に構わないけれど、そう言う危険な隠し事はされたくない。
それは自分でも分かる矛盾でも、嫌物は嫌だ。
だとしたら当然帯刀さんもだよね?
「だったらちゃんとよく話し合って下さい。凪さんが真剣に話せば、きっと分かってもらえますよ」
「・・・分かりました。話してみます」
そして南方先生のとどめの説得で考えを改め、帯刀さんと話して許可をもらうことにした。
あんまり望みはないけれど、南方先生の言葉を信じてみよう。