夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「うわぁこの鰻肉厚ですごく美味しい」
「本当に、美味しい。龍馬さん、ありがとうございます」
「喜んでくれれば、何よりだ」

今まで食べたことがないぐらいの美味しさに自然と言葉を発してると、ゆきもニコニコしながら龍馬にお礼する。
すると龍馬は頬をほんのり赤く染め照れ臭そうに頭をかき受け答え。
なんだか結構いい感じである。

龍馬の宣言通りゆき達と一緒に食べることになり、大広間を貸し切り総勢10人での夕食。
鰻重をメインとしたカルシウム多めのメニューに、当然とばかりにある憎き生野菜。
みんなの前で食べさせてもらうのは恥ずかしいから、今日こそは一人で頑張って食べようとは思う。

「・・・龍馬さん、いいな。私もゆきちゃんに・・・」

ゆきと一番距離をがある席に座った夢の屋さんが、羨ましそうにゆきと龍馬を見つめながらため息を付き呟く。
それはまるで恋する乙女のよう。

リアルで目の当たりにすると、キモ過ぎる光景だ。
変態キャラはやっぱ二次元のみ有効か。

「凪さん、また顔色が悪いですが大丈夫ですか?」
「ゆき、あいつのあの姿を始めてみたら、誰だってそうなる。私だって未だに抵抗があるをだからね」
「そう言うもんなの?」

再びゆきに誤解され心配されるけれど、今度は都がすべて話してくれ私は何も話さずにすむ。
なのにゆきはそれでも意味が解らず、首を傾げるだけだった。

本当にこの子は夢の屋さんをキモいとか変態だとか、せめて違和感ぐらいはないのだろうか?
だとしたら相当疎いと言うか、馬鹿の行きに達している気がする。
きっと夢の屋さんは、立派なストーカーなんだろな。
ゆきの観察日記も書いてるし。

「夕凪、あまりジロジロ見ない」
「はい、すみません」
「変態が伝染したらどうするの?」
「指摘するとこは、そこなんですか?」

今もなおゆきだけを見つづける夢の屋さんの変態ぶりに目を離せず考え事をしていれば、帯刀さんから注意され反射的に謝るのだが少々意味がズレていて拍子抜けしてしまう。
しかもかなりマジ見たいです。

変態は伝染する?
私があんな風になって、帯刀さんのストーカーになるってこと?

「小松さん、福地さんは変態じゃないです」
「変態だよ立派な」
「そうだな。少なくてもまともじゃない」
「都もチナミくんも酷いよ。瞬兄と総司くんは違うでしょ?」
「ゆき、俺も彼は普通じゃないと思います」
「僕は別に何も感じません」
「・・・・・・」

ゆきと総司くん以外は夢の屋さんは変態だと思っているらしく、夢の屋さんはすっかり落ち込みふさぎ込みゆきも悲しそうだった。
原因が私だけになんだか申し訳ないけれど、真実なだけに自覚できてよかったと思って・・・無理だな。

「お嬢は嫌がってないんだから、あんまり気にすることない。そう個性があっていいじゃねぇか?」
「そうですよ。福地さんは今の福地さんでいてください」
「ゆきちゃん、ありがとう。君はなんて優しい可憐な天女なんだ」
『・・・・・』

予想は的中。
龍馬とゆきのせいで夢の屋さんの変態は更に悪化し、私たちは突っ込む気力をなくした。
今までとは違う意味が加わりやっぱり出来るだけ関わりたくないし、ましては知り合いだと思われたくもない。

「南方先生、彼の頭を割って調べることは出来ないの?」
「そそれは・・・」

そんな中帯刀さんは真面目に問い、南方先生を困らせるのだった。



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