夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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どうしてもマコトを助けたいと思いが強くなりチナミちゃんの両手を握りしめ、チナミちゃんの言葉など聞かず暴走しかける私を帯刀さんが押さえ込む。
しかし私はけして馬鹿なことを言っているんじゃなく、すべてをいたって真面目に言っている。

救えるんだったら、全力で救う努力をする。
マコトがいれば天の朱雀はマコトに戻るだろうから、チナミちゃんがマコトの補佐をすればいい。
その方がチナミちゃんだって、幸せなはず。

「私は本気です。私を信じて欲しい。宰相なんかの手駒になったら駄目だよ」
「また話をややっこしくさせる。でもまぁチナミのような若い人はこれからの未来には必要だからね」
「何もかもが唐突すぎて話について行けないのですが、小松殿も宰相は敵だと思ってるのですか?」
「そうだね。少なからずそう思っているよ」

今回ばかりはその押さえに負けじとチナミちゃんに熱意を伝えたく話し続ければ、帯刀さんには伝わりチナミちゃんの説得を助けてくれる。
当のチナミちゃんは混乱しすぎて、最早自分の志さえ迷っている模様。
それは雪ちゃんの時と一緒だ。
人はいきなりの展開には、頭がついていかないようだ。

「・・・少しだけ考える時間を下さい」
「時間が命取りになってもしら」
「どっちにしろ今やるべき事を終わらせないと、これには進めないよ」
「あっ、そうでした。ならこれが終わるまでには、考えをまとめてね」
「・・・分かった」

当然答えを急がせる私だったけれどやるべきことを帯刀さんに言われ思い出し、チナミちゃん願い通り少しだけ答えだけを答えを待つことになった。

帯刀さんがいなければ、私は本当に駄目な奴。
善は急げと言うけれど、準備は必要か・・・。

「チナミ、くれぐれもここであった話は、内密にして欲しい」
「それは分かっています。小松は一体何をしたいんだ?・・・世界を救う?」
「私はただ帯刀さんとの幸せな未来を守りたいだけ。世界を救うのは神子であるゆきと八葉の役目じゃない?」
「そう。あいにく妻には戦う力がないから、世界なんて救えるはずがないよ」

宰相を倒す=世界の平和につながることだけれど、世界を救うなんてことはあまりにも重荷である。
第一帯刀さんの言う通り、なんの力も持ってない私には無理なこと。
それぐらい私にだって、一応分かっているつもり。

「確かに・・・。でもこれがもし本当のことだったらあいつはどんなに傷つくことだが」
「チナミちゃんは優しいんだね。ひょっとしてゆきのことが好きなの?」
「ち違う。そのようなことは絶対ない。オレはもう行く」

親身になってゆきを心配するチナミちゃんに面白半分でからかえば、期待以上の反応が返ってきて部屋を出て行ってしまった。
顔を真っ赤にそまらせ、必要以上の動揺。
誰が見たって脈ありだってことが分かる。

龍馬のライバル登場か。
夢の屋さんもすでにゆき命でストーカーだと思うから、これからいろいろと大変そう。
私は出来る限り応援するつもりだけれど、ゆきって私より相当鈍い強者だからね。

「モテる人に片想いすると、いろんな苦労が堪えなさそうですね?」
「そうだね。その上相手が鈍感だと手に入れるまで、相当手こずり自信をなくす。手に入れれば、こちらの物だけどね」

親友のことでも他人事なので涼しげに言いながら帯刀さんの顔を覗き込むと、まるで自分の事のようにそう答え私の頬に手を当て誇らしげに唇を奪ったのだった。

もしかして帯刀さんの言っている人って、私だったりする?
まさか・・・ね。



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