夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「でもまさかお義姉さんが遙か5の大ファンだなんて知りませんでした。しかも私と同じ小松さんのファンだなんて私達気が合いますね」
「最近やり始めてね。雪ちゃんも帯刀さんが好きなんだ」
「はい。龍神の神子がゆきって名前だから、デフォルトでやると、ちゃんと呼ばれるんですよ」

弟夫婦の新居に訪れ弟の帰りを待つ中、遙か大ファンだった義妹の雪ちゃんとそんな会話で盛り上がる。
本当に雪ちゃんは遙かが大好きのようで、やたらにテーションが高い。
私も大好きなものは熱く語る方だから、なんか微笑ましくなってとことん付き合ってあげたくなっちゃう。

弟よ。
こんな可愛い義妹を作ってくれてありがとう。

「そうなんだ。ねぇ帯刀さんって人気が高いの?」
「そりゃぁもう。あのドSがたまりません。お義姉さんだってそうでしょう?」
「アハハ・・・。でもドSならアーネストもそうじゃないの?しかも白馬に乗った王子様っぽいじゃない?」
「確かにアーネストも人気は高いですよ。でもやっぱり私の本命は小松さんです」
「そうか」

本命と言う言葉に、胸がチクリと痛む。
雪ちゃんの言っている本命は本命の意味が違うと分かっていても、それでもやっぱりいい気はしない。
ちょっと辛いんだよね。
まさかこっちの世界でも嫉妬をしないといけないなんて、夢にも思わなかった。

もし全国の帯刀さんファン達に、“私が妻です”なんて言ったらどうなるんだろう?
証拠となる写真を見せたとしても、大半は信じてくれないだろうね?
信じてくれたとしたら、・・・・・。
考えるだけでも恐ろしいので辞めとこう。

「あっ、そうだ。お義姉さんも再来週やる遙か祭に行きませんか?私純ちゃんと行く予定なんですけれど、遙かをあんまり知らない純ちゃんよりも好きなお義姉さんと行った方が盛り上がれると思うんです」
「・・・ごめん。それはちょっと・・・」
「小松さんの声優も来るんですよ」
「・・・だから、いきたくない・・・」
「え?」

雪ちゃんの親切心からのそんな誘いに、私はほとんど即答で答えてしまった。
多分私の顔から笑顔が完全に消えているのか、雪ちゃんは不思議そうに首を傾げる。
ちなみに純ちゃんとは弟のことだ。

遙か祭に行ったら、私は気が狂うかも知れない。
帯刀さんが帯刀さんではなく、しかも龍神の神子を愛している。
そんなの絶対に見たくも聞きたくなくって、私はゲームも帯刀さんモードから進めずにいた。
だから宰相も四神も大団円EDも見れていない。
こんなんじゃいけないって分かっているんだけれど、どうしても拒否してしまう。
今日ここに来た理由って言うのが、弟に頼み込み帯刀さんをやってもらおうとしている。

「ねぇ、雪ちゃん。私がもし遙か5の世界に行き来して、帯刀さんの妻してますって言ったら信じてくれる?」
「は、そんなのあるわけないじゃ・・・」
「これが証拠。私は小松帯刀の正妻なの」

突然の私の爆弾発言に雪ちゃんは一瞬私を軽蔑する視線で私を見るけれど、私は構わず懐中時計の写真を雪ちゃんに見せる。
やっぱり雪ちゃんは家族なのだから、こう言う大事なことは話した方が良いと考えたから。
そして出来ることなら一緒に対策を考えて欲しい。

「・・・・・・」

あまりのことにすぐには答えてくれず、沈黙はしばらく続く。



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