夢幻なる絆

□7.未来改造計画
19ページ/26ページ



「奥方様、どうかされましたか?」
「チナミちゃん私に対しては、今まで通りの接し方でいいんだよ。って言うかそう言うの嫌」
「嫌?嫌とかそう言う問題ではないのです。奥方様は小松殿の正妻ですから」

不思議がるチナミちゃんに私はきっぱり要望を言うのだけれど、チナミちゃんには分かって貰えずムッとすることを言ってくる。

それは私が一番嫌いなこと。
私の正体を疑ってた時は乱暴な言葉だったのに、身分が分かった途端改まる。
確かに私は家老の妻だから薩摩藩の人達は多少言葉が改まるのは当たり前かも知れないだけれど、チナミちゃんは薩摩藩と何も関係ない人なのにい接し方が変わるなんて絶対おかしいと思う。
最初っからだったらまだしも、今頃変わるなんてなんか嫌。
その点西郷さんは薩摩藩士でも、私には以前と接し方が変わらないよね。

「だから何?私は帯刀さんの妻だけど尊敬されるほど立派な人間じゃないし、チナミちゃんだって私のことなんてちっとも尊敬してないでしょう?」
「そうだね。夕凪はごくごく普通の女性。チナミもそう思ってくれればいいよ」
「・・・だったらお前は、そのチナミちゃんって言い方やめろ」
「それは嫌だ」

帯刀さんの助けもありようやく前のチナミちゃんに戻ってくれたけれど、それは私のどうでも良い拘りだから却下する。

チナミちゃんは、チナミちゃんだ。

「なっなぜだ?」
「慣れちゃったんだからしょうがないじゃん。だから私のことは今まで通りで」
「言われなくてももう二度と、特別扱いするものか。・・・変な奴」

すっかり元に戻った途端いつも通り完全に怒らしてしまい、原因の癖して少々気の毒で言いすぎたと反省。
でも私が言い勝てるのはチナミちゃんだけだから、申し訳ないんだけれど面白いんだよね?

「すまないね。妻のざれことに付き合わせてしまって。それで話しと言うのは、妻は邪魔なこと?だったら席を外して貰うけど」
「いいえ。小松にも十分関係あることです」
「私にも?」

すかざず帯刀さんが話しをまとめ本題に戻せば、意外なことに私にも関係があるらしい。

私にも関係があるチナミちゃんの相談ごと?

「そうだ。お前昨日ゆきが宰相に騙されていると言っただろう?それは一体根拠はなんだ?」
「うっ・・・、チナミちゃんの癖に言うじゃない?」

いきなり核心を問われ、答えに困り思わず暴言を吐いてしまった。
まさかチナミちゃんから、言われるなんて思わなかったからびっくり。

「夕凪、見た目だけで判断したら駄目だって言ったよね?」
「それを言ったらチナミちゃんだって、アーネストを外見だけで判断してますよ」
「他人はいいの。口答えしない」
「・・・すみません」

反射的に自分を正当化させようと言い逃れをすれば、頭をコツリと帯刀さんにこつかれ怒られる。
確かに今のは言い逃れした私が悪い。

でも・・・。

「チナミ、妻は予知能力者なんだよ。夕凪試しに、チナミのことを予知しなさい」
「チナミちゃんは宰相に良いように利用されているだけ。人質にされているマコトや仲間は、宰相に処刑されて陽炎にされ・・・あれまだ間に合うのかな?」
「じょ冗談を抜かすな。宰相殿は・・・」

真実は言わずうまい具合に切り抜け私も話を合わせ重要なことを伝えると、心当たりが多少あるのか威勢をなくし言葉を無くす。

もしかしたら時期的にマコト達は、まだ生きているのかも知れない。
助けられる可能性が、少しでも残っているとしたら・・・。

「ねぇチナミちゃん、マコト達を助けに行こうよ」
「は、お前は馬鹿か?」
「馬鹿でもなんでも良い。処刑されて陽炎にされる前に、救えばいいじゃない?宰相を倒すのは無理でも、救うのは出来るかも知れない・・」
「夕凪、馬鹿を言うのは、ほどほどにしなさい」




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ