夢幻なる絆

□7.未来改造計画
18ページ/26ページ



「夕凪、そんなに心配しなくても私は神子殿に心移りなどしないから、もっと自分に自信を持ちなさい」
「・・・すみません。ゆきを心配する帯刀さんを見ていたら、胸が痛くなって悲しくなったんです」

部屋に誰もいなくなった途端帯刀さんは私をギュッと抱きしめてくれそう言ってくれるけれど、私は正直に心の内を答えて帯刀さんの胸元に顔をすくめ目を閉じる。
暖かくていい匂いがして私か一番安心できて心地いいと思える場所。
この場所を誰にも渡したくない。

「それは嫉妬だよ?夕凪も嫉妬をしてくれるんだね。・・・ありがとう」
「帯刀さんは嫉妬されて嬉しいですか?」
「嬉しいよ。それだけ私は夕凪に愛されている証だからね」

なぜか喜ばれ感謝までされて不思議に思う私に、そっと耳元でそう甘く囁きそこにキスをしてくれた。
帯刀さんの熱が伝わってくる。

愛されている証。
確かに愛してるから嫉妬するんだから、そう言うことにもなるよね?
なんかそう考えると帯刀さんの言う通り、嫉妬されるのも嬉しいかも?

「だったら私も」
「夕凪は駄目。加減って言う物を知らないでしょ?私がどんな思いで嫉妬してると思うの?」
「そそうでした。嫉妬は辛いですから、私も出来るだけしたくない」

いつものように調子にのって嫉妬の請求をしようとすれば、あえなく却下されうまい具合に洗脳させられてしまう。
帯刀さんは本当に私を誘導するのが上手で、いつも洗脳されて考えがコロコロ変わる私。

「なら私ももう誤解されないように、心がける。それでいい?」
「はい、いいです」

そんな私に帯刀さんは微笑みそう約束してくれたので、私はここでようやく安心できる。
本当ならその方法を聞いたりしなきゃいけないのに、それだけでも私には満足なのだ。
だから私は単純過ぎると言われてしまう。

「じゃぁこの件はおしまい。夕食までまだ時間があるから、少し出掛けようか?」
「いいですね。行きましょ」
「小松殿、すみません。折り入ってご相談したいことがあるのですが、宜しいのでしょうか?」
「相談?」

すっかり元気を取り戻し帯刀さんのうれしい誘いに快く了解した瞬間、部屋の外から深刻そうなチナミちゃんの声が聞こえてくる。
私が知っているチナミちゃんじゃなく、やけに礼儀正しい少年。

そう言えばチナミちゃんって目上の人には、やたら礼儀正しいんだっけ?
なんかそう言うのってちょっと気に食わないけれど、そう言う時代だから無理もないか。
それに私には、ありのままだし。

「はい。忙しいとは存じて折りますが、どうしても聞いてほしいのです」
「そう。だったら中に入って」
「はい、失礼いたします。奥方様の御容体は・・・起きていて宜しいのでしょうか?」
「え、チナミちゃん?」

チナミちゃんの熱意が帯刀さんに伝わったのか許可がおり襖が開き入って来るのだけれど、どう言う訳か私のことを心配されしかも言葉がやけに改まっていて別人のようだった。
びっくりしてチナミちゃんを、マジマジ見つめてしまう。

一体全体何があった?



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ