夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「皆さん、お待たせしました。お茶とお菓子を持ってきました」
「おお、菓子とは凪も気が利くな。しかも懐かしの本家本元の安道那津。南方先生の土産だな?」
「うん、そうだよ」

話を聞き終わり何事もなかったように帯刀さんにお茶を私は安道那津をを持って戻れば、龍馬が待ってましたと言わんばかりにそう言いながらお茶とお菓子をみんなに配ってくれる。
そう言う何気ない優しさが龍馬らしい。
きっと龍馬は優しいことをしたなんて、ちっとも思ってないだろうけれど。

「ねぇ都、アンドーナツなんてこの時代にもあったんだね?」
「ああ、私も初めて知ったよ」
「ここは俺達の世界とは異なる世界ですから、多少違いがあっても不思議ではありません」
「言われてみればそうだよね」

鋭い怪しまれる突っ込みを言われ一瞬焦ったけれど、意外にも瞬のおかげで助かりホッとした。
そのかいあってこれからもそれでなんとかやり過ごせると思いきや、南方先生は何も言わないけれど不審な顔に変わる。
明らかに異なる世界に引っかかっている感じだった。

そうだよね。
南方先生は単純に過去の世界へタイムスリップしていてゆき達も同じだと思っているのに、いきなり異なる世界って言われたら誰だって戸惑うのは当たり前。
ましては私のようにこの世界はゲームの世界だったら、南方先生はすごいショックを受けるだろうね?
そう言う時は言わぬが花?
どっちにしろ世界から来たのか未来から来たのか話し合って、ハッキリさせてあげた方が良いのかも知れない。
南方先生のためにも。

「美味しいなこれ。本物のアンドーナツだな。ゆきも食べてみろよ?」
「うん、いただきます。うわぁ〜美味しい」

豪快に安道那津をほおばり美味しそうに食べゆきにも進めると、ゆきは行儀良く一口安道那津をかじり笑顔を浮かばせる。
これだけ見ていれば可愛い女の子同士の会話に過ぎなくて、正直萌え過ぎる美味しい光景だった。
可愛い男の子も女の子は大好物。

「夕凪、よだれが出てるよ」
「あ、すみません」

何度となく注意されたことを再び帯刀さんから小声で注意されてしまい、我に戻った私は急いでよだれを拭き取る。

恥ずかしい・・・。

「それで南方先生、神子殿の怪我はどうでしたか?」
「怪我の方はたいしたことはありませんでしたが、疲れがたまっているみたいなので特にビタミンを取って休息を取った方が良いと思いますよ」
「さすが南方先生。でもビタミンって言う奴は、どうやったら取れるんだ?」
「レバーや小魚。あ、今だと鰻なんか良いかも知れませんね」
「そうか。なら今夜は俺が鰻をご馳走してやるから、お嬢達もこの宿に泊まって行くと良い」

なぜかそう言う話が勝手に進み龍馬一人だけが張り切る始末で、きっとなんだかんだと言っても強引に押し切られるのは確定だろう。

だけど帯刀さんまでもがどうして、ゆきのことを気にしてるの?
まさか心配・・・?

そう思ったら胸が急に痛くなって、悲しくなる。
こんな些細なことでもゆきに帯刀さんが取られる気がして、とてつもない不安が私を襲う。

「凪さん、顔色が急に悪くなったようですが、どうかされましたか?」
「・・・まったく。皆さん申し訳ないのですが、妻の体調が優れないようなのでこの部屋から出て行ってくれますか?女将に事情を話せば部屋を用意してくれますから」
「あはい。あの凪さんもお大事に・・・」
「・・・・」

私の異変にいち早く気づいた南方先生に問われれば、私ではなく帯刀さんがそう言ってお開きとなる。
私のことを心配してくれるゆきだったけれど、私は何を言って良いのか分からず視線を背けてしまった。



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