夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「南方先生、大変だ」

声と共に扉が開き、ゆきをお姫様だっこした龍馬が入ってきた。

「大変じゃない。まったく龍馬は大げさだよ」

訳も分からず首をかしげていると今度は呆れきった帯刀さんがやって来て、龍馬の頭をコツンと殴り小言を言ってため息をつく。
余計に意味が分からなくなり、私の頭は混乱するだけ。
その後ゆきの取り巻きがわんさかとやってきて、あっと言う間に部屋が狭くなる。

「帯刀さん、龍馬さん、どう言うことなんですか?私にも分かるように説明して下さい」
「あ、私にもお願いします」

南方先生も私と同じくこの状況を理解出来なかったらしく、帯刀さんと龍馬に真相を問うので私もそれに便乗する。

「分かった。でもその前に夕凪、私も手伝うからお客様にお茶を入れてあげなさい」
「え、あそうですね。なら勝手場に行かないと」
「小松殿が、お茶を入れるんですか?」
「ああ。私の妻はおっちょこちょいだから、もし零して火傷したら一大事だからね」

まさかの客人扱いに少々驚きつつもあまり失礼な態度をもう取れないので帯刀さんに話を合わせると、やたらにチナミちゃんはそのことに驚き都も意外そうに帯刀さんを見つめだす。
確かに天下の家老様が、自らお茶を出すのは珍しいかも知れない。

「帯刀は愛妻家だからな。じゃぁ南方先生はその間お嬢の怪我を見てくれないか?」
「大丈夫ですよ。ただ引っかかれただけですから」
「お嬢、油断は禁物だぞ」
「そうですよ。破傷風になるといけませんから、ちょっと見せて下さい」

部屋を出て行く時どこかテーションが高い龍馬と南方先生それからゆきのそんな会話が聞こえた。

やっぱ龍馬は私よりも、ゆきといた方が嬉しそう。
それは当たり前なんだけれど、イヤな感じがする。
親友の恋路を応援しなきゃいけないのに、私ったら何やってるんだろう?







「夕凪、シロはどこにいる?」
「え?シロちゃんなら札に戻って休んでますよ・・・ほら」

誰もいない部屋に連れてこられそれでも周囲を警戒する帯刀さんにシロちゃんのことを問われ、私は訳も分からずでも言われた通り札を懐から出し見せる。
まだゆっくりシロちゃんはお休み中。

「だとしたらあれはやはり白虎の偽物・・・?」
「偽物?私にも分かるように説明して下さい」
「実は私は化け物が暴れていると知らせを受けそこに行っては見たけれど、すでに神子殿が封印した後だった。聞けば正気をなくした白虎が暴れていたとかでね」
「そんなの嘘です。だってシロちゃんは南方先生を連れてきてたんですよ。それにシロちゃんが暴れるなんて、絶対にありえない」

聞き捨てならない説明を耳にしついカッとなり、帯刀さんの胸ぐらを掴み必死にシロちゃんの潔白を訴える。
いくらなんでもそれは酷い。
でっち上げも良い所だ。

「夕凪、落ち着きなさい。いくらシロが愚かな神でも、夕凪を悲しませることはしないからね」
「・・・帯刀さん、シロちゃんは愚かじゃない。でも信じてくれて、ありがとうございます」

私を優しく抱きしめてくれ酷い言われようで一応指摘はしたけれど、それでも信じてくれることが嬉しくて同時にお礼も言う。
帯刀さんはいつでも私の味方だ。

でもシロちゃんの偽物って何?



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