夢幻なる絆

□7.未来改造計画
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「クロちゃん、ごめんね。せっかくのお出掛けだったのに、こんなすぐに帰って来ちゃって」
「あのような邪魔が入ったのだから、仕方がない。しかし今度は二人だけで出掛けたい」
「え、それはちょっと・・・」
「そんなことしたら、帯刀に殺されますよ」

夏蜜柑丸漬を買ってまっすぐ宿に帰って来て泊まっている部屋に戻り食べる用意をする中、私はクロちゃんにまた口説かれ掛けるけれどシュウちゃんの厳しい加勢で会話はそこで強制終了。
シロちゃんとクロちゃんは性格が違うけれど、口説かれ方はあまり変わらない。

シュウちゃんが居なかったら、本当にどうなってたことだか・・・。
それとも曖昧な態度を見せる私がいけないのかな?
シロちゃん達相手だとどうしても異性とは見れないから、ついつい気を許しちゃうって言うかなんと言うか。
この際もう一度強く言っといた方が良いか。

「クロちゃん、私にとってクロちゃんは大切な仲間。それ以下ではないけれど、それ以上じゃないの。私の最愛の人は帯刀さんだけだから」
「そう面と向かって断言されるのは、私にまったく可能性がないと言われてるんだな」
「うん、まったく可能性はない」
「そ即答・・・」
「凪らしいですね。本当に帯刀は幸せ者ですね」

思ったら吉日なのでハッキリきっぱりとそう言えば、クロちゃんは軽いショックを受けたのか部屋の片隅で丸くなる。
そこだけどんよりした重くてイヤな空気が漂ってい始めたにも関わらす、シュウちゃんはクロちゃんを励ますどころか容赦なく追い打ちを掛ける台詞で私に微笑む。

「クロちゃん、本当にごめんね。ほら三人で夏蜜柑丸漬を食べよう?クロちゃんが食べられるように小さく切ったからね」
「・・・食べさせてくれるか?凪を諦める変わりに、食べさせてくれるか?」
「え?」
「凪相手にしなくて良いです。クロ往生際がないですよ」
「シュウには私の気持ちなど分からぬ。もう二度と凪を困らせないから良いだろう?」
「まぁそう言うことなら、別に構わないけれど・・・」

話は思わぬ展開になり今まで効果抜群だったシュウちゃんの押さえも聞かずに、クロちゃんのもの凄い熱意に戸惑いつつも負けてしまい渋々頷いてしまった。

私も人のことは言えないんだけれど、クロちゃんって本当に子供っぽい所もあるんだよね?
でもそれだけ私を本気だったと思うと、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
もっと遠回しの言い方で断った方が、ううん誤解を招いたらそれこそ可哀想だもん。
私は正しい。
でもだからこそ、最後ぐらいね。

「ありがとう凪。やっぱり私は凪が大好きだ」
「うっっ・・・苦しい」
「クロそんなに締め付けたら、凪が死んでしまいます」

一気にクロちゃんの声は明るくなり私の首へと巻き付くのだけれど、嬉しさのあまり加減なく締めつきるから私は息が出来なくなり藻掻き苦しむ。
その時ほんの一瞬だけ、三途の川が見えた気がする。




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