夢幻なる絆

□番外編3
2ページ/4ページ



凪、八千代の花となる。




歌舞伎鑑賞が終わりまだ帰るには少し早かったので、今時期はさまざまな花が咲き乱れ綺麗だと言う場所までやって来た。
そこはまさに楽園その物。
チョウチョウ達が優雅に舞っていて、小鳥達のさえずりが聞こえてくる。


「帯刀さん、私を花で例えるとなんだと思いますか?」
「薺じゃない?」
「即答。しかも薺って雑草じゃありませんか」


私はフッとあることを思いつき、帯刀さんを見上げ唐突の問う。
すると唐突にも関わらず平然と答えられ、あまりのそっけない答えに凹み突っ込んでしまう。

いくらなんでもペンペン草はないと思う。
せめてたんぽぽと言って欲しかった。


「だって夕凪は雑草並の性格でしょ?何度言っても分からないし、呆れるぐらい図太い神経をしてる。ぱっと見冴えない女性だからね」
「・・・帯刀さん、それあなたの妻のことですよね?言っていて恥ずかしくないんですか?」


恥ずかしがることなく痛い真実をいつもながらばっさりと叩き付けられたが、私は自分のことを棚に上げそのままを言い返す。

そんな最低な女性を選んだ帯刀さんは、人を見る目がない。
信頼も信用もなくす。

・・・・・・
・・・・・・

最低な女性。
やっぱり私は最低なんだ。

自分で思っときながら、最大のダメージを受ける。

私は最低な女性・・・・。


「真実だから仕方がない。だけど私は薺は好きだよ。良く見れば花は小さくて愛らしいし、こうやると音を奏でる。だから夕凪は薺でいいでしょ?」


って言いながらその辺に生えているペンペン草を積み手を加え、私の耳元で音を奏でる。
子供の頃に良く遊んだ懐かしい音色。


「・・・そうですね。大体私が美しい花なわけないですよね。野に咲く普通の花でも帯刀さんが好きなら、私はそれだけで十分過ぎるほど満足です」
「相変わらず夕凪は単純だね。でもそこが夕凪の良い所だから、その素直なままでいるんだよ。いいね?」


その音を聞いて自分なりに納得して物分かり良く頷いたのに、帯刀さんはそう言って私の頭をポンポンと叩く。
相変わらずの子供扱いだけれど、内容が内容だけに怒られない。

子供見たいな私が好きって言うのもあれだけど・・・。


「分かりました。記念に薺を摘んで活けとこう」


気を取り直し私は花を咲かせている薺を摘んで、花束にして見る物のどうも見栄えはイマイチ。

所詮野花でも、雑草は雑草か・・・。


「夕凪、薺の花言葉は知ってる?」
「いいえ、知りません」


草花に興味のない私は問われ、首を大きく横に振る。
花言葉まで知ってるなんて、帯刀さんは本当に物知りなんだな。


「あなたにすべてを捧げます。花言葉だけは、情熱的だと思わない?」
「そうですね。でもだったら当たってますね。私はすべて帯刀さんに捧げてますから」
「そう。夕凪の心と体は、すべて私だけの物。誰にも渡すつもりはないよ」


耳元でそっと囁かれ意味を知り私は頬を赤く染めながらも答えれば、帯刀さんは満足そうに言い私をお姫様だっこして歩き出した。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ