夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「相変わらず小松婦人は、面白い人ですね?」
「あ、アーネスト」

年のせいかそれとも単なる運動不足かダッシュは続かずすぐに息切れしていると、お久しぶりのアーネストがクスクス笑いながら私に声を掛けられた。
本人に聞かなくてもチナミちゃんとの会話を聞かれていたのは、台詞からしてほぼ間違えないだろう。
イヤな奴に聞かれてた物である。

「お久しぶりです。小松婦人。どうしてあなたは嘘でも良いから、あのサムライの味方をしなかったのですか?」
「しようとしたんだけれど、つい本音がポロリとね。・・・チナミちゃんが言っていることは分かるんだけれど、どうしてもその考えはついていけないんだ」
「・・・分かる?」
「うん。チナミちゃんはただ日本を守りたいだけ。砲艦外交のやり方が悪かったから、異国は日本を脅かす敵だって誤解しているんだよ。だから何かきっかけがあれば、そう言うこともなくなるんだと思うんだよね?」

アーネストならちゃんと理解してくれると思い私は、帯刀さんにも言ったことがない自分なりの考えを話してみた。
まぁ帯刀さんはあんまり外人に偏見を持っていないから、別に話す必要がなかっただけだったり。
するとアーネストは意外そうに私を見つめ、そして見くだしたように口元だけ少し笑う。

・・・イヤな予感がする。

「Even the chance?Speaking with such a barbarian is waste of time. 」(きっかけだって?あんな野蛮人と話すだけ時間の無駄だよ)
「あ〜アーネスト。またそう言う暴言吐く。それじゃぁアーネストもアーネストが言う野蛮人と対して変わらないじゃない?」
「小松婦人は、どこまで理解してるのですか?」
「野蛮人と時間の無駄ぐらい。それで大体の予想はつくんだよ」
「小松婦人の能力は、未知数ですね」

かすかに聞き取れ理解した単語に腹が立ち頬を膨らませて厳しく指摘すれば、どれだけ私を見くびっていたのか意味を知られ驚きまくるアーネスト。

アーネストの腹黒ぶりは相変わらずで、日本人をここまで侮辱してたのか。
いくらアーネストがそう言う感情を表に出さないからと言たって。

・・・イギリス人よ。
あんたら通訳者の人選、絶対に間違えてるよ。

「・・・アーネストって日本に幻滅した?こんな野蛮な国って思ってるんでしょう?」
「さすが小松婦人。あなたは私をちゃんと分かってくれてますね」
「・・・イギリスに帰った方が良いよ。本当に・・・」

もう完全に開き直ったのか私に図星を言われても、動揺することなく遠回しに認める。
どうやら私はますますアーネストのおもちゃになってしまったらしい。

私は人妻なのに、なんでこう言う羽目になる?

「そう言うわけには、参りません。私は女王陛下に誓いを立ててきたのですから、途中で放棄することなどできないのです」
「ならそう言う英語で暴言吐くのはやめなよ。この日本人の中にも英語をちゃんと理解する人がいるんだからね」
「ご忠告ありがとうございます」

ごもっとな理由で否定され仕方がないから、やんわりとそんな忠告をしてこの話題を終わらせる。




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