夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「腹が減ったら戦が出来ぬって言うし、まずは腹ごしらい腹ごしらいと」

新選組の拠点がある八木邸に向かう途中、食べ物の誘惑に負けてしまった私はおだんごとおいなりさんとお茶を買って近くの河原にやってきた。

お日様がサンサンと照り付けていて日差しが暑い。
いかにも夏本番って感じだ。

でも今がお昼だと言うことは、私がこっちに来たのは朝方。
つまり私達は朝っぱらから、そう言うことをしてしまった。
どおりで藩士が無断で入ってきた分けだ。
いろんな意味で悪いことしちゃったな。

−凪。今幸せか?
「え、あうん。すごく幸せだよ。帯刀さんが私の傍で支えてくれさえいれば、きっと私どんな試練も乗り越えられる。もちろんシロちゃんも私の傍にずっーといてね」
−もちろんだ。

ちょっとだけ反省しているとシロちゃんは嬉しそうに優しげに微笑みテレパシーで問われたから、私も笑顔でありのままを答えシロちゃんを安心させた。

あんなに辛かった日々なのに、帯刀さんがいるだけで私は私でいられる。
今の私は世界中で一番幸せな女性。

「所でシロちゃんって朱雀の正確な位置って分かる?」
−たやすいこと。
−だったら私が八木邸の前で騒ぎを起こすから、その隙に朱雀の札を拝借してくれないかな?

聞かれたらまずい作戦なので私もテレパシーを作戦を送ると、ビックリしたのかシロちゃんは私をまじまじ見つめる。

−そんなこと、絶対駄目だ。それでもし凪に怪我を追わせたら、我は小松帯刀に殺される。もっと穏便な方法で願う。
「穏便な方法でか・・・」

青ざめた表情になり激しく却下されてしまい、気が乗らないながらも一応別の方法を考える。

でも確かによく考えたら私が騒ぎを起こすって言っても、すぐに捕まってなんの時間稼ぎにもならないか。
あまりにも無知過ぎる浅はか作戦だった。

−ではこう言うのは、どうだろう?小松帯刀の代わりに新選組の視察に来たと言って、奴らの気を引く。我はその隙に朱雀の札を拝借する。
「あそれなら私にもできそうだね。となると帯刀さんの許可が必要だから、まずは藩邸へ行った方が」
「私はここにいるけど、何かを用事でもあるの?」
「えあ、た帯刀さん。どうしてここにいるんですか?」

シロちゃんの作戦を実行しようとしてこれからやるべきことを落ち着いて考え整理していると、いきなり帯刀さんの惚けた声が間近で聞かれ問われ驚く私。
緊急事態で出掛けたはずの帯刀さんとこんな所で、出逢えるとは夢にも思わなかった。

「ちょっとね。現状待機していたら、夕凪の声が聞こえてきたから様子を見に来たわけ。用件があるのなら言ってみなさい」
「私新選組の視察に行きたいです。帯刀さんの変わりと言うことにして、行っても良いですか?詳しい話は後で話します」
「新選組。・・・なるほどね。朱雀の札を盗みに行くんだね?」
「・・・拝借するだけです」

なんだかお取り込み中のようで理由を後回しにして頼みたいことだけ頼むのだが、頭の回転が速い帯刀さんにすぐに大まかなことを理解され耳元でそう囁かれる。
私は穏便な言葉に言い換えるけれど、たいして意味は変わっていない。
これだから私は帯刀さんには、頭があがらないんだよね。



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