夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「夕凪、大丈夫?」
「はい。この程度ならなんとか平気です」

部屋に行くと帯刀さん自ら布団を引いてくれ寝かされ、自分も寄り添い横になり頭をなぜて心配してくれる。
いつも以上に幸せを感じて、多少体がだるくてもさほど気にならない。
だから私は笑っていられる。

「私に強がったら駄目だよ」
「強がってませんよ。帯刀さんがいてくれるから、本当に平気なんです」
「そう?でもかなり辛そうな表情をしてるから、少し眠りなさい。今度は泊まりで、嵐山に連れてってあげる。最近良い子だったからご褒美」
「わぁ〜、ありがとうございます。楽しみだな」

自分では幸せ過ぎてよく分からないけれど帯刀さんがそう言うからにはきっと真実なのと、更なる嬉しい約束に私は明日が待ち遠しくなり言われた通り少し眠ることにした。
まだ朝で全然眠くないけれど、帯刀さんの温もりの中なら眠れるだろう。

「私もだよ。最近政務で忙しくあまり構ってあげられなかった分、今は思う存分甘えていいよ」
「だったらおやすみの口づけを下さい。強烈な口づけが欲しい」
「・・・まったく。そう言う事言ったら、どうなるか未だに分からないの?」
「え?」

幸せ一杯で気も大きくなり帯刀さんの言葉通り思いっきり甘え催促してみると、帯刀さんは深いため息を付き意味深なことを言ったと思ったらご希望のキスをしてくれ・・・る?

「うっっ・・・?」

それはいつもよりもっと甘く深い物だった。
帯刀さんのことを感じることが出来ていつまでもしていたい気もするけれど、今に私には強烈過ぎる物で頭が真っ白くなって意識が徐々に遠のいていくようだった。
だけどそれでも気持ちが良くて幸せ過ぎて、逆に不安も押し寄せて怖くもなる。

私こんなに幸せでいいのだろうか?
ツケがまわってこない?

「・・・夕凪、お休み。良い夢を見るんだよ」

考えるほど考えるほど不安が徐々に大きくなっていく中、帯刀さんの強烈なキスは終わり私のまぶたを優しく指で閉ざされる。
すると意識はそこでなくなり、私は眠りにつくのだった。



そして





「・・・あれ、ここは?」

目が覚めるとそこはお久しぶりの我が家だった。
しかも何も知らされていない突然の帰宅。
あまりにも突然過ぎて悲しいとか寂しい気持ちにならず以外にも平常心を保て、普通に起き上がりテーブルに追いてあった未開封の遙か5を開封しソフトを取り出し本体にセットをする。

私がここで何よりも優先してやらなくてはいけないことは、この遙か5をやってこれから起こることを把握すること。
悲しんでいる隙なんかいられない。

「姉貴、戻ってきたんだな」
「あ、うん。今回は戻らなきゃいけなかったからね。私なら、大丈夫」

弟の沈んだ声が聞こえ視線を向ければ、そこには私を心配そうに見る弟がいた。
私のことを親身に思ってくれている。
だから私は明るく平気だと伝え、視線を画面に戻し名前を入力。

・・・そう言えば帯刀さんの声優って誰なんだろう?
女性声優はそれなりに知っているけれど、男性声優はほとんど知らないからな。

「やらなきゃいけないことってゲームかよ?」
「そう。あの世界は遙か5ならこれを全クリさえすれば、あらゆる危機は回避出来ると思うんだ」
「危機?遙か5って恋愛ゲームだろう?」
「世界を救うバトル要素もあるんだよ。幕末が舞台だし」

ここぞとばかりに前向きな答えに若干弟は弟は引き気味だったけれど、私は構わず最低限の答えを言って自分の世界へと入っていく。


私は世界が救いたいんじゃない。
帯刀さんと幸せに過ごせる未来が欲しいだけなんだ。


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