夢幻なる絆
□6.四神を救え
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「帯刀、落ち着け」
「無理。玄武。今から家訓を教えてあげるから、必ず守ること」
「なんだお前は?私と夕凪の仲を邪魔をするな」
言うまでもなく帯刀さんは私から玄武を引き離し、すごい剣幕で睨みを利かす。
「私は夕凪の夫の小松帯刀。我が家の家訓は、
一.妻を夕凪と呼べるのは、夫である私だけ。
二.妻をけして口説かない必要以上に触れない。
三.夫婦の時間を邪魔しない。
四.妻をあらゆる災いから護ること。
以上のことを守れなければ、私はあなたを破き燃やして棄てます。夕凪は私だけの者なのですから」
『・・・・・・』
知らなかった家訓とは呼べない始めて聞かされ私達恐怖を感じ人はしーんとなる物の、シロちゃんとシュウちゃんには心当たりがあるらしく何度も頷いていた。
これが帯刀さんを恐れる理由?
「玄武、諦めろ。凪にとっても小松帯刀は大切な人なのだからな」
「帯刀を怒らせると怖いですよ」
「そうなのか?でも私は・・・凪に忠誠を誓う」
「それは我も同じ」
二人の言葉に玄武は何かを感じ恐れ、そしてその家訓に従い帯刀さんに従う。
四神達の結束はこうして深まり絆が強くなっていく・・・。
それは良いことなんだろうけれど、そんなんで強くなるのはどうなんだろう?
ちょっと違うような。
「それと玄武は、これからクロ。いいね?」
「クロ・・・。もっと良い名はないのか?」
「ないね。大人しく言うこと聞きなさい。シロとシュウは素直に従ったよ」
「・・・凪は、この名をどう思う?」
「可愛いと思うよ。クロちゃん」
今まで同様センスのない名を帯刀さんに名付けられ不満満々の玄武は、私に助言を求めて来て私は帯刀さんに合わせニコッと笑う。
シロちゃんとシュウちゃんとここまで来たら、玄武は当然クロちゃんしかない。
「なら仕方がない。クロでいい」
「・・・神様にも容赦ないな帯刀わ」
「それだけ小松婦人に夢中なんですよ。面白いですからね彼女は」
渋々頷くクロちゃんに、すっかり仲良くなったと思う龍馬とアーネストがひそひそと話している。
すべて聞こえるけれど・・・。
「あっ、始まりました。でも前より大分軽い」
突然やって来る頭痛と体のだるさ。
でもこれなら普段の生理痛が少し酷い度だから、十分我慢できる範囲だ。
それともこれから酷くなる?
「だったら今日は休みなさい。私が傍に着いていてあげるから」
「はい、分かりました」
そんな私を帯刀さんは軽々持ち上げ優しく言うので、私は素直に頷いてみせる。
明日になれば全開するから、今日だけは我慢。
それに一日中帯刀さんの傍にいられるのなら、そんなに悪くもない。
「なら俺達は帰った方がよさそうだな」
「そうですね。それではまた」
「小松婦人。謹慎が解けたら、是非遊びに来て下さい。神様達も歓迎します」
「うん、ありがとう」
要領のいい三人もすぐにそう言い、帰る支度を始める。
こう言うのを紳士って言うんだろうね?
確かにアーネストと南方先生はそれなりに紳士ではあるけれど、龍馬はどうなんだろう?
「玄関まで見送れなくて、すまない。シロ、ちゃんと南方先生を送り届けるんだよ」
「分かっておる。心配するでない」
「すみません。助かります」
最後に帯刀さんはそう言い、三人と一匹は玄関に私達は私の部屋に戻る。