夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「それじゃぁ、行きますよ」

翌朝ようやく帯刀さんの許可が下りたので玄武の穢れを払うことになり、私はみんなに見守れる中そう意気込み玄武の札に触れる。
するとシロちゃんの時と同じように、黒い不気味が私の体内に吸い込まれ白い光が輝きだし煙になる。

「夕凪、体に異変はない?」
「すぐには来ないですよ。しばらくしてからです」

私の体調を気にする帯刀さんに、私は元気よくそう答え笑顔を向ける。
少しだけ強がってはいるけれど、傍には帯刀さんがいるから大丈夫。
それになんとなく今回は、たいしたことなく終わる気がする。

「凪は気楽だよな。でも今回は南方先生がいるんだから、何も心配はいらねぇ」
「坂本龍馬も案外気楽だな。・・・でも今回は一日だけですむだろう」
「・・・シロ、そう言う問題ではないと思います。あなたは本当に凪を好いているのですか?」

シロちゃんはたまにものすごい残酷なことを無自覚で言いい、回りを驚かせ呆れさせられる。


今回も一日生死をさ迷うんだ。

そう思ったら覚悟しているのに、無意識に帯刀さんの手を強く握ってしまった。
覚悟していても、やっぱり怖い。

「むろん。我は小松帯刀にいくら邪魔されようとも、凪を愛し幸せを守ると誓っている」
「だったら私と夕凪の邪魔だけはしないで欲しいね」

そんな私に気づいてくれないシロちゃんは恥ずかしいこと胸を張って堂々と言うけれど、帯刀さんはいつもと違って冷静にさらりと言ってシロちゃんを黙らす。
こっちの方がいつも以上に迫力があるのは気のせい?



「私の呪詛を解いてくれたことを礼を言う」
『え?』

そこに突然聞き覚えのない声が聞こえ私達は声に注目すると、煙の中から黒くて細長い物が現れる。
今までだったら可愛い動物なのに、今回は一見可愛くもなんともない。
ただの紐・・・。

・・・・って言うか、生き物?

「お前が私の穢れを払ったのか?」
「わぁ、しゃべった」
「・・・ゴースト?」
「失敬な。私は怨霊ではない。玄武だ」

紐がしゃべり動き出したことに素で驚いていると、それは気に触ったらしくムッとしたらしく怒り名を名乗る。

これが玄武?

「俺には紐しか見えないが・・・」
「りょ龍馬さん、そんなこと言ったら駄目ですよ」

普通なら声に出して言えない真実を龍馬は不思議そうに言って、玄武をますます怒らせ大変な方向に進んで行く。

誰もが思う紐ではあるけれど、どうやら蛇らしい。
あ、玄武だから蛇なのか。

「玄武、初めまして。私は小松夕凪。そう私が呪詛を解いたの。体はもう平気?」

気を取り直し今更もう遅いとは思いつつ、最初の問いを答え玄武を抱いてみる。
元々爬虫類も平気な私にして見れば、別に触ることなどたわいもない。
それによく見れば、つぶらな瞳で可愛らしい。

「そうか。なら礼を言うぞ。夕凪、ありがとう。私はお前が気に入った。これからこうしてお前から離れない」
「え、それはちょっと・・・」

あんなにご一服だった玄武は機嫌良くお礼を言い、そうも言いながら私の首に巻き付く。
それは嬉しいことでも、嬉しくはない。
なぜならば横にいる人の、嫉妬と殺気が尋常ではないから。


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