夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「南方先生、どうしたんですか?」
「あ、凪さん。ちょっとこれからのことを考えていました」

夕食会が完全に宴会となりしばらくして南方先生がいないことに気づいた私は気になり探すと、庭でぼんやり月を眺めている南方先生を見つけ私はそう問うながら駆け寄ると戸惑いの表情を浮かべ答えが返ってくる。

やっぱり切り替えることは、簡単にはできないか。
切り替えてすっかり楽しんでいる龍馬とアーネストの方が異常なのかも?
あの二人は、結構神経図太いからね。

「すみません。本来関係のない南方先生まで、こんなことに巻き込もうとしてしまって」
「そんなことは、いいんですよ。世界の危機と言うことなら、私にも十分関係ありますから。それにもし私が八葉になって役目を果たした時、元の世界に戻れるのであれば私は喜んで八葉になりますよ。ただ私には戦闘なんて出来ませんから・・・」
「RPGには必ず回復系キャラを入れる物ですよ」
「アハハ、確かにそうですね。だけど世界の危機って一体どんな危機なんでしょ?」

南方先生の考えを知りたいのともう一度謝罪をするため話を切り出せば、返ってきた答えはやっぱり前向きな迷いだった。
南方先生は南方先生なりに、ゆっくり前へと歩き出そうとしている。
私は元気づけるためそう言うと、南方先生は笑い少しだけ元気になった。

私もゆっくり前へと進んでいるから、私と南方先生は似た者同士。
だから帯刀さんには詳しいことは秘密と言われているけれど、もうちょっと詳しいことを話してもいいよね?

「私の知る限りでは、なんでも狭間の神様が暴走して四神も滅びて四凶となって、それで世界が滅びるんです。・・・一年半後に・・・」
「一年半後って・・・凪さんひょっとして?」
「はい、この目で見てきました。・・・とても言い難い未来でした」
「そうなんですか。それにしても相手が神様となると、ますます事態は深刻ですね」

そこまで言った癖して最後は曖昧な言い方で話を終わらすと、それだけでも南方先生には十分伝わったのか更に深刻な表情でを浮かばせた。

ラスボスが神様。
改まって考えてみると南方先生の言う通り、事は思っているより深刻だ。
龍神の神子と八葉は、相手が神様でも倒せるって言うんだろうか?
龍神の神子は龍神が選んだ女の子・・・。

「でも今度は四神は四凶になることはありません。四神が全員復活してくれれば、神子が八葉と絆を深めれば、きっと明るい未来に変わります」
「だといいですね。・・・一度江戸に戻ってじっくり考えてから、結論は必ず返事をします」
「江戸に帰るのなら、我が送ろう。我なら一刻も掛からない」
「シロちゃん?」

私達二人だけだと思っていたらいつのまにかシロちゃんがいて、話を聞いていたらしく心よく南方先生にそう言う。

それはほぼ力が戻って来た証拠。
シロちゃんに乗ると、そんなに早く行けるんだ。

「いいんですか?」
「フム。そなたは天の白虎候補でもある以外にも、凪の命の恩人だからな」
「ありがとうございます。助かります」
「私からもありがとうね。シロちゃん」

ようやく南方先生に本当の笑顔が浮かび、私も安堵しシロちゃんを抱きしめお礼を言う。




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