夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「帯刀さん、お茶と安道那津を持ってきました」
「安道那津なんてどうしたの?」
「咲ちゃんにレシピをもらってたので、梅さんに手伝ってもらって作ったんです」

私は政務を頑張っている帯刀さんに頃合いを見計らって、ようやく出来た安道那津とお茶を持っていった。
すると安道那津を見た帯刀さんは驚くけれど、理由を聞くとクスクスと笑い私の傍までやって来て腰を下ろす。
いかにも私が主に作っているような口調で言っては見たけれど、実際は梅さんがほとんどで私が手伝っただけだったりする。
でもこう言うのってちょっと奥さんらしくて、今の所は出掛ける時よか楽しんで家事全般を修行中。

「ありがとう夕凪。相変わらず形は歪だね。でも・・・味は中々だよ」
「アハハ・・・。そうだ。肩をもみます」

一口美味しそうに食べてくれた感想は、言わなくても梅さんが作ったと分かった言い方だった。
さすが帯刀さん・・・。
罰が悪くなった私は引き攣った笑顔で苦笑しそう言いながら、帯刀さんの背後に回わり肩もみをする。
帯刀さんの肩は若いのにコチコチで苦労していることがよく分かって、それなのに私のことで更に迷惑をかけて苦労させてると思うと本当に申し訳ない。

「夕凪は肩もみだけはうまいね。どんな人でも取り柄は最低でも一つあると言うのは本当だね」
「だけは余計ですよ。私だって他にも取り柄ぐらいありますよ。諦めが悪くて何度だって挑戦する所とか」
「そうだったね。それに私に尽くす取り柄もね」
「・・・そうですよ。私は帯刀さんのためなら、殺人だって出来る怖い女なんですよ」

いつものように誉められているのに貶され少しいじけ頬を膨らまし言い返すと、なぜか思わぬ方向になり私もついすごいことを口走り帯刀さんに抱きつく。
本当に私は帯刀さんのためなら、なんのためらいもなく殺人を犯してしまうかも知れない。

「駄目。夕凪はこの手を汚したら。綺麗なままでいなさい」
「汚れた私は嫌いですか?」
「そうじゃない。私はどんな夕凪でも愛してる。ただ私と違って夕凪は意外と繊細だから、心を痛めることになるでしょ?だから駄目」

しかし帯刀さんは私の手に取り強く握り優しいことを言ってくれ、私は嬉しくなり心が温かくなってこれもまた幸せを感じている。

いつも私のことをちゃんと考えてくれる私の旦那様。
私もそんな旦那様のために、今まで以上にもっともっと尽くそう。
それしか私には出来ないから。

「私これから奥さんらしく家事全般を頑張ります」
「奥さんらしくね。頑張るだよ。じゃぁ私は続きをするから、龍馬達が来たら広間に通して私を呼びなさい」
「了解です。なら私は夕食の支度を始めます。今夜は餃子と酢豚に杏仁豆腐です」
「今夜は中華料理だね。しっかり梅に手ほどきを受けるんだよ」
「分かってます。帯刀さんも頑張って下さい」

って元気良く言って私はお盆を持って、帯刀さんの邪魔にならないよう部屋を行儀良く出る。

今夜は龍馬と南方先生、それからアーネストが来ると言われた。
なんでも大切な話が三人にあるとかで、それは私に関係があるらしい。

一体何の話だろう?



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