夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「ねぇ夕凪、下僕ならもうシロとシュウがいるでしょ?なのになんであんなこと言うの?」
「シロちゃんとシュウちゃんは大切な仲間です。だから使い捨て可能の下僕が欲しかったんです」
「随分物騒なこと言うね。事情は分かったけれど、もうそんなこと考えたら駄目だよ。これ以上私の心を掻き乱さないでくれ」

西郷さんと藩士達に外してもらい二人だけで詳しく話すことになって、私は少しふて腐れながらもちゃんと帯刀さんの問いに答えれば、壁に押し寄せられ深く何度もキスをする。
呆れ果て怒っているはずなのに、このキスは淋しく思っていて私を求めている?

心を掻き乱さないでくれ
なんで?

「私土方にドブス言われて、すごく傷ついたんですよ。だから土方をボロ雑巾のように使って捨てるんです」
「そんなに傷ついたんなら、私がじっくり時間を掛けて癒してあげる。それでいいでしょ?」
「え、あっ!」
「どこが痛いの?」

戸惑いながらももう一度今度は本心のまま正直に言うと、ちょっと違う解釈をされてしまい耳たぶを甘噛みされ吐息付きでそっと問われる。
何もかも不意打ちだったため、体中に電気が走り力がなくなり帯刀さんなしでは立っていられない。
こんな所なのに、理性をなくしてしまいそうになった。

でもそれは絶対駄目。
いくら誰も見ていない所であっても、ここは外なんだから。

「・・・帯刀さん、誰かに見られたらどうするんですか?帯刀さんの信頼がた落ちになっても知りませんよ」
「構わない・・・と言いたい所だけれど、さすがにそれは困るから続きは後にするよ」

なんとかブレーキを掛けると思った通り中断してくれたけれど、再びさっきより深くて長いキス。
今度のキスはいつもと同じだけれど、やっぱり私のことを激しく求めてる。
頭ではちゃんと分かっていても流されやすい私は、ただ流されるだけで拒否することは不可能だった。

こんなとこ誰かに見られ・・・たら・・・
・・・げっ?

「ん、どうしたの夕凪?」
「・・・見られちゃいました」

最悪に近い事態に我に戻り一気に真っ青になっていく私を首を傾げ問う帯刀さんに、私は恐る恐るそれを指さし耳を澄まさないと聞こえないような声で囁いた。

それとはチナミちゃんと夢の屋さん。
それから銀髪と黒髪の両方イケメンの男性二人に、ピンクの髪の色白の可愛い女の子。
五人全員にキスの現場を目撃されてしまい、夢の屋さん以外は赤面させ視線を泳がせている。

「おや、あなたは・・・。今度は御門ですか?さすが龍神の神子 お忙しいことだ」
「え、龍神の神子・・・?」

私とは違いその一行と面識があるらしく涼しげに声をかけるけれど、私は龍神の神子と言う言葉に過剰反応する。

ついに龍神の神子とのご対面・・・。
出来れば会いたくなかったけれど、会わないと何も始まらないんだからしょうがない。
予想通りの可愛くて芯の強そうな少女で、私なんかやっぱりカスミにもならないか。

それにしても噂通り神子には、取り巻きが沢山いる・・・。
チナミちゃんまで八葉だったんだ。
帯刀さん・龍馬・アーネストも八葉みたい・・・
そう言えば玄武の札を持っていた高杉もそうだと思うから、八葉はイケメンホスト軍団?

ちょっと羨ましい・・・
なんて言ったら、帯刀さんに怒られるか・・・。



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