夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「おい、お前達一体何をそんなに揉めて・・・凪、どうしてお前がここにいる?」
「あ西郷さん」

ゲシッ


「イタッ」

喧嘩する中天の助けか私を良く知る西郷さんが現れたので、私は土方の弁慶の泣き所を蹴り殴り急いで西郷さんのもとへ避難する。
いるはずもない私に驚きまくる西郷さんで、・・・・足を怪我をしていて弱冠引きずっていた。

「西郷さん、足どうしたんですか?」
「ちょっとな。それよりも御家老との約束はどうしたんだ?しかもこんな危ない所までのこのこやって来て、御家老の雷を落とされるだけじゃ済まされんぞ」
「緊急事態だったんです。私殺され掛けたんですよ」

状況を説明しなければ西郷さんの雷も落ちると思い、簡潔に言い首筋の怪我を証拠として見せた。
すると西郷さんの表情が深刻に変わる。

信じてくれたんだ。

「誰に狙われた?」
「それはここでは言えません。それよりもこいつらに、私が帯刀さんの妻だって証明して下さい」

土方と近藤さんがいる以上口が裂けても言えず、別で重要な話題に話を変えギャフンと言わせてやろうと試みる。
相手が西郷さんなら、絶対信じるだろう。

「は?」
「西郷さん、こんなドブスが小松さんの妻なわけないよな?」
「騒ぎの原因は、それか。この方は正真正銘、薩摩家老小松帯刀の正妻だよ。しかも相思相愛と来ている」

完全にドブスと言うあだ名になってしまった哀れな私だけれど、西郷さんが期待以上のことまで言ってくれ話は一気に解決。
マジギレしている土方も不振そうにしている近藤さんも、鳩が豆鉄砲を喰らった顔になり数秒停止。
かなり面白いヒトコマだ。

「ほら見なさい。人を外見だけで判断しないで」
「うっっ、真に面目ない。先日に引き続き、どんな処罰でも受ける覚悟です」
「・・・マジ?」
「だったら土方、私の下僕になりなさい。私の命令は絶対だからね」
「おい凪。そんなことしたら、御家老がまた怒り狂うだろう?」

近藤さんが申し訳なさそうに土下座までして謝り土方もそれに何も言わないので、私は調子に乗りそんな酷い条件を出せばなぜか西郷さんが止める。
しかも分からないことを言う。

なぜ帯刀さんが怒る?

「凪さん、トシは我等新選組の副長ですよ」
「うん、知ってる。だから何かあったら使っていいでしょう?性格は最悪でも腕はたつし」
「ああ、そう言うことですか。でしたらご自由にどうぞ」

困った様子で近藤さんは当たり前のことを言うけれど、私の説明で快く納得してくれ潔く渡してくれる。

ただ少し嫌みで言ったのに、嫌みだと思われていないらしい。
それか気づかれていないとか。
まぁいずれにせよ土方は、今から私の便利でしかない下僕。

「近藤さんオレの意見は無視ですか?近藤さんだって同罪でしょ?だろう小松さん?」
「上司を売るなんて、ますます最低。近藤さんはあんたに言われて、疑っただけだからいいの」

武士とは思えない卑怯なしかも上司を道ずれ発言に、私はますます土方を軽蔑し最低最悪の座に君臨させた。




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