夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「御家老、失礼つかります。・・・え?」
『・・・え?・・・』

突然渡り廊下が騒がしくなったと思えばいきなりと襖が開き血相を変えた藩士が現れハッキリと言うのだけれど、私と帯刀さんの今の状況に目が点になり動きが停止する。
それは私達も同じでどんな状況なのかすぐには理解出来ず、部屋中の時が一瞬止まったのだが・・・。


「し失礼いたしました」

割合すぐに我に返った藩士は顔を赤面させ、乱暴に襖を閉め声を裏返させ謝罪する。
その瞬間ようやく今の状況を理解し、私の疎い恥ずかしい感情が爆発。
声にならない悲鳴を上げ、帯刀さんの懐で大粒の涙が流し泣いた。
さすがにこんな状況で普通でいられる人はいない。

・・・もろに見られた。
帯刀さん以外の男性に、見られたくない裸体を・・・。
死にたい・・・。

「夕凪、大丈夫だから。・・・君ね 馬鹿にも無粋にも程があるでしょ?ここは妻の部屋だと何度も言っているはずだよ」
「緊急事態だったので、本当にすみませんでした」
「こればかりは謝ってすむ問題じゃないと思うけど?ねぇどうやって私に殺されたい?串刺し?首はね?それとも引きずり?」

大泣きする私を抱きしめながら、藩士に対し恐ろしい問いを本気で問い出さす。
帯刀さんにとってもこれは許し難いことで、そうでもしないと気が済まないようだ。

「どうかそれだけはご勘弁を。私には妻と二人の子がいます」
「だったら今度私達の目の前で、ちぎりを交わしてくれる?私達が味わった屈辱を思い知るがいい」

必死に命声をする藩士に、帯刀さんは更に卑劣なことを言う。
その姿はまるで魔王その者だ。

私のことを考えてくれているのは嬉しいけれど、そこまで私は望んでいない。
他人のちぎりを見ているなんて、そんな私悪趣味じゃないよ。

「帯刀さん、もういいです。きっと帯刀さんに緊急な用事があったから・・・」
「夕凪は優しいね。・・・そうなの?」
「はい、緊急なご裁断を仰ぎたい件がございまして・・・」
「仕方がないね。もしこれでどうしようもない件だったら、ただでは済まさないよ」
「・・・覚悟しております。では私は馬を用意して、お待ちしております」

見かねた私は藩士に味方する言い方をするとようやく帯刀さんの怒りは半減し、藩士の言葉を聞く耳を持ち起き上がる。
それでもまだやっぱり少々怖い。

「夕凪、この続きはまた夜にでも」
「そうですね。なら着替えるの手伝います。たまには奥様らしいことをさせて下さい」
「奥様らしいことね。じゃぁ手伝ってもらおうか?」
「はい、よろこんで」

と言って私も起き上がり上着を羽織り、帯刀さんの着替えを手伝うことになった。


私が手伝ったおかげでいつも以上に時間が掛かったらしいけれど、私なりに一生懸命やったんで邪魔などはしてい・・・ない・・・と思う。
うん、絶対に。



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