夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「奥様、どうしたのですか?先ほどよりも顔色が更に悪くなっているみたいですが、もう少しお休みになられなくてもよろしいのですか?」
「怖い夢を見ただけだから、逆にこうやって体を動かしてた方が良いの」
「旦那様が殺される夢ですね?」
「・・・うん、そうなんだ」
「旦那様は奥様を残して死ぬようなお方ではありません。それに夢で死ぬと長生きすると言いますし、何も心配する必要はありませんよ」

元気なく勝手場に行くとそこには梅さんがいて私を心配してくれ、軽く訳を話したらすぐにすべてを見抜かされてしまう。
どうしてそう簡単に例のごとく見抜かされるてしまうのか分からないけれど、帯刀さん同様そんな私を暖かく包み込んでくれ助言してくれ私の手を握りしめてくれた。
そう言われるとちゃんとした根拠がなくても、なんだかホッと安心できて気が楽になる。

「そうだね。じゃぁ急いで夕飯の支度をしない」
「私も手伝います」
「うん、宜しくね」

安心しきった私は今出来ることを言うと頼まなくてもそう言ってくれて、夕飯のカレー作りはなんなく始まった。

「奥様、これはなんて言う料理なんですか?」
「カレーと言って、未来では子供たちが大好きな料理なんだよね」
「そうなのですか。なんとなく肉じゃがと作り方が似てますね?」
「確かにそうかも」

カレー作りは梅さんのおかげで思いの他順調に行き後はルーを入れて煮込むだけとなり、そんな中梅さんと楽しい会話が弾む。

母と娘そんな感じかな?
イヤ、この場合梅さんは以前からずーと帯刀さんのお世話をしていたのだから、どっちかと言うと嫁と姑って言った方が近い?
梅さんが姑なら、何も文句はない。

「なんかこうして奥様と食事の支度をしていると、失礼ながら娘と食事を作っていた頃を思い出します」
「そんなことないよ。私だって母と料理しているみたいだと思ってた所なんだ。娘さんってどんな人?」
「嬉しいですね。娘は桜と言って、旦那様より少し年上で優しい子でした。八年前に幼馴染みの商人の所へと嫁いで行きました」
「なら梅さんに似てるんだね。もし梅さんが良ければ、私のこと娘だと思って欲しいな」
「・・・奥様、ありがとうございます。ではこれからはそうさせてもらいます」

娘さんの話をしている時少しだけ淋しそうな表情をする梅さんに私はニッと笑いそう気軽に言うと、ありがたいことによほど嬉しかったらしく涙を潤ませ感謝され再び笑顔へと戻る。
弱冠自分の親にも見離されている私を自分の娘のようにしてくれるなんてちょっと信じがたいけれど、二年後の梅さんもあんな最低最悪の私のことを大好きって言ってくれたから嘘ではない?
だとしたら嫌われないように、しないとね?
もちろん帯刀さんにも。

「うん、じゃぁ早速カレールー投入!!」

ドバドバ


俄然張り切った私はそう言って、お鍋の中にカレールーを入れその後カレーは完成した。

味の保証は定かではない?
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