夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「う、梅さん〜。おお水〜」
「奥様?今すぐお持ちいたします」

軽いジョキングだったはずが屋敷に帰り着いた時にはすでにバテバテで、玄関先で梅さんを呼ぶと返事だけが聞こえてくる。

もうちょっとだ凪。
もうちょっとで愛しのお水様に出逢える。

でもまさか私の体力はここまで衰えていたなんて思いもよらなかった。
まぁ運動なんて学生の時以来していなかったからしょうがないけれど、これじゃぁいつになったら帯刀さんに玄武の札を貰えるか分からない。
・・・地道に頑張るしかないな。

「奥様、はいお水です」
「あ、ありがとう梅さん。・・・少し休んだら夕食の支度をするから」
「それは、いいですね。旦那様が、さぞかしお喜びになられましょう」

すぐにお水様は私の元にやって来て私は一気に飲み干しそれでもまだ疲れが残っているかので、軽く昼寝をしてからカレーを作ることを伝えると梅さんはニコニコとなって快く了解してくれる。
そう言われると、ますます張り切ってしまう。



「でも体を鍛えるのに疲れて寝たてたら意味がないのかな?」
「そんなことはない。無理をし過ぎて倒れでもしたら、それこそ大問題だ」
「怒り狂った帯刀に、何をされるか分からない。私達四神滅亡の危機です」
「・・・何もそこまでいわなくても・・・」

布団を引き横になった直後ふとした疑問を呟けば、二人して顔を真っ青にして恐ろしいことを言う。

帯刀さんはシロちゃんだけではなくシュウちゃんまで手なずけ、・・・一体全体何をしてここまでしたのか不思議である。
確かに良く悪さをしたら札を破り捨てると言っているけれども、そんな簡単に破けてしかも本当に滅亡するのだろうか?
考え出したらきりがない。

「冗談ではない。とにかく凪は寝て疲れを癒せ」
「うん。ならシロちゃんこっちにおいで」
「うん?」
「抱きしめて寝て良い?帯刀さんには内緒だけど」
「良かろう」

基本何かを抱いていないと寝られない私はそうシロちゃんに言って、シロちゃんを背後から抱きしめる。
フカフカしていて相変わらず抱き心地の良いシロちゃん。
元々少し眠かった私を更に眠気が増し、目をつぶるとたちまち意識をなくし眠りにつく。


しかし


「イヤ〜!!」
「凪、一体どうした?」

悲鳴に近い声を上げ目を覚ます。
汗をびっしょりかいていて心臓が高鳴り、私は呼吸の乱れを落ち着かせた。
シロちゃんもシュウちゃんもそれから猫ちゃんも驚き、私のことを驚き見つめている。

「帯刀さんが殺される夢を見たの」
「夢?」
「可哀想に、大丈夫ですか?」
「うん・・・。・・・とっても怖かった」

心配する二人に夢の内容を言葉にすると、余計怖くて悲しくて涙が溢れて止まらない。
今すぐ帯刀さんの元気な姿を見たくなりいてもたってもいられなくなるけれど、外出禁止でカレーを作らなくいけない私にはどう考えても無理。

・・・それにあれは夢だもん。
帯刀さんは殺されるとしても、約一年半後の世界。
だから絶対大丈夫。

そう無理矢理自分に言い聞かせ起き上がり、布団をたたんで台所に向かう。

休むはずだったのに、全然休めなかった。




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